2024年11月に行われた斎藤元彦兵庫県知事(47)の“出直し選挙”をめぐり、斎藤知事とPR会社「メルチュ」取締役の折田楓(33)が刑事告発された問題。ことし2月7日には、兵庫県警と神戸地検が折田氏の事務所や、複数の関係先に家宅捜索を行う事態にまで発展した。
【写真】「慶應大卒でキラキラ」SFC時代の折田楓さんのギャル写真
ことの発端は県知事選挙から3日後、折田氏が「note」にある投稿をしたことだ。全国紙在阪記者が解説する。
「折田氏が発信したコラムには、『merchu』のオフィスで打ち合わせをしたり、プロフィール写真を撮影したりする斎藤知事の写真とともに、〈(選挙活動で)広報全般を任せていただくことになりました〉などと、知事選への関与をほのめかす文言が綴られていた。
その後、斎藤知事の陣営から同社に71万5000円が支払われていたと明らかになり、これが公職選挙法の買収・被買収罪にあたると指摘されました」
これに対し斎藤知事の代理人は同年11月27日、記者会見を開き折田氏の記述の一部を否定。71万5000円は選挙ポスターのデザイン費だとし、「(折田氏は)個人としてのボランティア」「事実である部分と事実でない部分がある。(内容を)盛っておられる」などと主張した。
「11月26日の囲み取材で斎藤氏は折田氏について『今回については知人の方を介して紹介していただいた』と、選挙前は面識がなかったかのような発言しています。しかし当初の折田氏の投稿には〈兵庫県庁での複数の会議に広報PRの有識者として出席しているため、元々斎藤さんとは面識がありました〉とあり、さまざまな点で両者の主張は食い違っている」(同前)
折田氏は今年2月に「週刊文春」で神社参りをする姿が一度捉えられたのみで、この一件以来は声明もなく“雲隠れ”してしまった。NEWSポストセブンは再三にわたり取材を申し込んできたが応答がなく、「meruchu」の事務所を訪ねても、人気が感じられることはなかった。
本人が姿を見せないなか、物議を醸しているのは同社が2024年11月に受賞企業に選ばれた「令和6年度ひょうご仕事と生活のバランス企業表彰」についてだ。
この賞はワークライフバランスの充実や多様な働き方を促進する企業を表彰するもので、去年は15社が受賞した。例年、県や経営者団体が審査に関わっており、県のホームページを見ると表彰者の欄には「兵庫県知事」と記載があることも確認できる。
折田氏は2024年11月29日に行われたこの賞の表彰式に出席予定だったが、公職選挙法違反の疑惑を受けてか、出席を辞退していた。
この問題については今年4月16日に行われた兵庫県議会総務常任委員会でも議題にあがっており、ある男性委員が担当課にこう質問を投げかけている。
「”知事賞”について、保留になっていると聞いているが、どうなっているのか」
担当職員が困惑した様子で「確認します」と返すと、委員はこう声を荒らげた。
「大事な問題ですよこれ。知事が知っとる人、“知事賞”をあげた人に選挙のお願いをしたかどうか、あるかないかの問題ですよ」「ちょっと身内にゆるいねアンタら、大変なことになるよ!」
取材を進めると実際には“知事賞”という名称の賞はないようだが、表彰者の欄には「兵庫県知事」と記載があることから、委員が斎藤知事と受賞者である折田氏の関係に疑義を呈したのだろう。実際にこの賞がどういう取り扱いになっているのか、担当の産業労働部労政福祉課に取材をすると以下のような回答が返ってきた。
「今回の表彰については、株式会社 merchu は表彰式には欠席されましたが、受賞はされています。表彰状は事務局で保管を継続している状況です。今後の動向を注視し、必要があれば対応を検討します」
会社の輝かしい実績になるはずだった賞も、このままでは“なかったこと”にされてしまうかもしれない──。