「一家が引っ越してきた時に挨拶しても無視されちゃって。それから恐くて話しかけないようにしていたんですよ。それがまさかこんな事件に関わっていたなんて……」──滋賀県長浜市、閑静な住宅街にある少し古びたありふれた民家の冷凍庫で、カチカチに凍っている状態の遺体が見つかった。司法解剖ができるまで1週間程度かかるほど、固く凍っていたという。近隣住民たちは不気味なこの事件に動揺しているようだった。
【写真】「怖い雰囲気で近寄りがたくて…」凍結女性遺体が見つかった“古びた黄色い民家”ほか
この事件、あまりに謎が多い。大手紙社会部記者が解説する。
「滋賀県警は4月2日、遺体が見つかった家に住んでいた無職、岩瀬浩一郎容疑者(72)と、息子で長浜簡易裁判所事務官の龍彦容疑者(49)、さらに大阪府堺市のアルバイト清掃員の野中秀紀容疑者(62)を、死体遺棄容疑で逮捕しました。親子と野中容疑者は親族で、遺体は野中容疑者の妻と見られています。
事件発覚の端緒は、大阪府堺市で50代と70代の夫婦が自宅のウォークインクローゼットの中で自殺していた事件です。夫のものとみられる遺書が残されていて、そこには『浩一郎容疑者の自宅に遺体がある』といった趣旨の内容があり、府警から連絡を受けた滋賀県警が遺体を発見し、3人を逮捕しました」
この夫婦と容疑者らの関係も現在捜査中だが、知人と見られている。
長年、遺体と一つ屋根の下で過ごしていたとみられる親子。周辺の住民から奇異な目で見られていたのは前回記事で報じたとおりだ。
「あの家だけが付き合いがないんです」(近隣男性)
「夏でも雨戸も閉め切っているような家でね、死んじゃうんじゃないかと冗談を言っていたくらい」(近隣高齢男性)
近隣住民と距離をとっていた岩瀬容疑者親子。雨戸を閉め切っていたのは、遺体がある家の中を見られたくなかったからなのだろうか──。
一方、共犯者として逮捕された野中容疑者が住む堺市の住宅街。遺体が見つかった長浜市の住宅からは直線距離で110キロ以上も離れている。
「もうここに引っ越してきて10年くらいは経っているのに、いつも険しい顔をしているので話したことはないんです。車に乗って出入りしている姿をたまに見るくらいで。引っ越してきたときは、逮捕された野中さんと、奥さんのような女性と息子さんらしき人が2人と、あとは高齢の女性がいらっしゃったと思います。介護の方がいらっしゃっていたのを見た覚えはあります。
でも最近は野中さんくらいしか見なくてね。この辺りは古い方も多いからご近所さんとはそれなりに会話もするのですが、野中さんはちょっと怖い雰囲気があるから近寄りがたくて。町内会にも入っていない方なので接点がないんですよね」(近隣女性)
今回見つかった“冷凍遺体”は野中容疑者の妻だと見られている。
「奥さんはいたはずなんですが……。ちょっといつからというのは分かりませんが、ずっと見ていない気がします」(同前)
野中容疑者が住んでいた年季の入った民家を訪ねてみると、電気が付いていた。窓から見える室内には、男性物の服がかけられていて生活感もある。しかしインターフォンを鳴らしてみるも、誰の反応もなかった。
「息子さんだと思うんですが、若い方も住んでいらっしゃるはずですよ。でももしかしたら野中さんが逮捕されて、そのまま慌ててどこかに行かれたのかも。事件のニュースが流れた後、家から生活音がしなくなった気がしています」(同前)
岩瀬容疑者ら親子も野中容疑者も、近所付き合いをしてこなかったようだ。遺体の存在が彼らの心の重石になっていたのかもしれない。限られた人間関係の中で、何が起きていたのだろうか。捜査の進展が待たれる。
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