警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、犬猫の保護団体の代表が「許せない」と激怒した「犬食」に関する体験について。
【写真】犬食が行われていたとは…保護団体代表も激怒した(イメージ写真)
* * * デヴィ夫人ことデヴィ・スカルノ氏が動物愛護を使命として結成を宣言した「12(ワンニャン)平和党」、その政策の第一に掲げられたのは「犬猫の食用禁止の明確な法制化」だった。日本ではなじみのない、というより、ついぞ聞いたことのない犬食の禁止政策に、メディアやネットでは疑問の声が上がった。だが先日、日本でも犬食が行われていたという衝撃的な話を聞いた。
関東圏内で犬猫の保護活動を行っている保護団体の代表が体験したケースだ。
「最近の話ではないが」と代表は話し始めた。「10年くらい前のことです。当時はまだ、今のような譲渡活動を行っている所はほとんどなく、犬を譲渡する場合も今のように里親募集の条件が厳しくありませんでした」。話は海外から食用に輸入された犬肉のことではなかった。
現在、保護活動を行っている動物愛護団体等の多くは、犬猫を保護するだけでなく、健康管理を行い、場合によっては人と暮らすための訓練や人馴れをさせてから譲渡活動を行っているという。募集する里親の基準や条件や団体等によって異なるが、もしもの場合を考慮してか単身者不可、最後まで飼うことができるか不明のためか高齢者不可などの条件がついている保護団体も多く、人によっては応募すらできない場合もある。動物愛護の意識の高まりや、テレビ番組の影響で保護犬や保護猫がブームになったこともあり、里親選考は厳しくなっているらしい。
その日は団体が行っていた譲渡会に、東南アジア系の男性が現れた。「やってきたのは前にも柴犬が欲しいといって、譲渡したことがあった男。また2頭欲しいというので、個人でそんなに飼えるのかと訝しく思ったことを覚えています」と代表はいう。男性は1度目に赤毛の柴犬を1頭、それほど間をあけずに再び現れ、2頭目となる柴犬を引き取っていっていた。家にはすでに2頭の柴犬がいることになる。譲渡する側としては、さらに2頭も男性に譲り渡して大丈夫かと心配になった。
代表の心配をよそに、男性は里親募集犬たちを見回し「今回は黒い柴犬と赤い柴犬が欲しい」と希望した。「2頭も本当に大丈夫か」と念を押した代表に、男性は当たり前のように「大きなパーティーがあるから2頭欲しい」と告げたのだ。それを聞いた代表はまさかと思ったものの「大きなパーティーがあるって、お前、まさか犬を食べているんじゃないだろうな」と問い返した。
男性は表情を変えず「みんなが集まる大きなパーティーなので」。にわかに信じがたい男性の話に、代表は「おまえ、何やってるんだ」と頭に血が上ったという。
その男性の国籍は不明だが、東南アジアのフィリピンやパラオでは古来より、お祝い事の御馳走として犬肉が食されていたらしく、ベトナムでは犬肉は幸運をもたらすと考えられているとの情報がある。またタイの一部の地域では、犬肉は貴重なたんぱく源で、夏バテに効くと考えられているらしい。
「これまでの犬たちは?」と問う代表に、男性は何食わぬ顔で「食べた」と自分の首を親指で切る真似をした。その男性に、代表は「食っただと!」と怒りしかなかったという。男性の話が事実なら、日本では動物虐待の罪に問われる犯罪行為で、決して許されることではない。
「ブリーダーの崩壊で行き場を失った犬たちを引き取って、これから幸せなるんだよと送り出したのに、冗談じゃない。まさか食べられていたなんて。この耳で聞くまで信じられなかった」という代表は、その男性が譲渡会に来るようになったきっかけを説明した。
「譲渡会をやっていた場所の隣に教会があって。教会だから、ホームレスとかビザが切れた不法滞在者とかを、タダで寝泊まりさせていたんですよ。男性も不法滞在だったようで仕事も住まいも金もなくなり、1か月ほど教会に寝泊まりしていたんでしょう。その頃は1か月に2回ほどそこで譲渡会を開いていて、それで知ったようです」。男性は教会で仕事も探してもらい、なんとか日本で生活できるようになったのだろう。
「お前にやる犬なんていない。帰れ! 2度と来るな」、代表は男性を追い帰し、出入り禁止にした。その後、男性が譲渡会に姿を現すことはなかったが、「後味が悪くてね。犬を食うなんて、それも俺の渡した犬たちを。犬食の話は知っているが、外国で行われている話だと思っていました。韓国では数年前、食用の犬たちの大規模飼養施設の環境が劣悪だと問題になった。一部では皮膚病や病気の犬でも食用していたという話も聞いていたが、犬食は禁止になった。日本でも戦時中は食べる物がなくて犬を食べたという話はあるが、今の日本で犬を食うやつがいるなんて」。
もしかすると類似のケースが日本のどこかで起こっている可能性もある。デヴィ夫人が掲げた政策も、案外、突拍子もないものではないのかもしれない。