入社式を終えたばかりにもかかわらず、退職代行モームリにはすでに多くの依頼が舞い込んでいるという。代表の谷本慎二氏によると、「昨年よりも退職者は約2倍程度増えていて、新卒に関しても本日(4月4日時点)13人、昨日20人と、かなり多くの依頼を受けている状況だ」という。
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4月に入社したばかりなのに、退職する理由について、谷本氏は「新卒者に関しては、入社前と入社後で実態が違うとか契約内容が違ったなどの乖離(かいり)というところで、退職理由が非常に多いと感じる」と説明する。
実際に寄せられた退職理由は「入社後に休日出勤の必要があると説明を受けた。入社前はそのような説明は一切受けていなかった」「求人票には基本給16万+各種手当と記載があったが、実際の基本給は最低賃金を下回っていた」「入社前に聞いていた出勤日数、休日日数と入社後の説明が違った」「社長が入社式の最中に新卒社員ともめて、みんなの前で怒鳴ったことに加え、廊下に出して『なめてんのか』と説教した」「仕事がわからず聞こうとしたら『自分で考えろ』と言われ、今度は自分なりに考えていたら『仕事が分からないなら聞け』と言われた」などがあった。
谷本氏は「待遇は今の時代、非常に良くなってきている。給与面もコンプラ面も。でも企業はやはり人員が欲しいため、自社を事前に良く言ってしまう。そして、それが正しいと思って入ってきた人が、契約内容だったり実態だったりが違うと、『他の会社に行った方がいい』と早期離職につながっている」と分析する。
入社直後の退職について、街の新入社員は「4日でやめちゃうのはもったいない。『もうちょっと頑張ってみよう』って」「あまりにも言われていた内容と違うと、上司がすごく怖かったりすると、(退職代行を)使ってしまうパターンもあるのかな」と語る。
一方で大手企業では、軒並み初任給がアップした。明治安田生命では、金融業界の最高水準となる初任給33万円超えに。さらに休暇の充実やコンプラ重視など、人材確保と離職を防ぐために、手厚い待遇を打ち出している。
しかし、谷本氏はそれだけでは通用しないと指摘する。「時代に応じた風に会社が変わっていかないと、結局は労働者のせいにしても変わっていかない。人を変えるよりは、企業を変える方が簡単だ。もちろん今の若い人々がこのままでいいとは、僕も思っていないが、企業側が体制を変えるのは簡単にできることなので、そういったことに、企業側がアプローチするのが必要になる」。
「転職が携帯・スマホで、ボタン1つで応募できてしまう時代。退職も同じく退職代行ですぐに退職ができる状況。これを使わないでくださいというのは難しい」(谷本氏)
こうした風潮を受けて、モームリには「退職代行で3万件のデータを保有しているので、それを持って『離職率低下の講演会を開いてほしい』と。そこに関しては、大手企業から依頼が殺到している」と説明した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)