オリエンタルラジオの中田敦彦やミュージシャンのGACKTが移住した東南アジア。そしてタレントの優木まおみも、今年中にマレーシアへ移住することを発表した。
東南アジアへの移住のリアルなお金の事情などについては、前編記事『中田敦彦、GACKT、優木まおみ…芸能人が続々移住!東南アジアに住む女性歌手が明かす、日本人が知らない【魅力的すぎる生活】』にて、ベトナム在住の歌手・三上ナミ氏に話を聞いた。
そこでは、収入や支出のバランス、宗教の違いについても大きな問題にはならないことがわかった。
しかし、国が違えば常識や文化が違うのは当たり前。はたして三上氏が移住して感じたカルチャーショックとは――。
オリラジ中田が住むシンガポールは、ツバ吐きやゴミのポイ捨てにも高額の罰金が課せられることで知られている。そのおかげで町の清潔さや治安が守られている。
一方で、発展途上の国はそうした意識はまだ低いようなイメージもあるが、ベトナムのリアルはどうなっているのだろう。
「一応、法律で禁止になったはずなのですが、人通りの多い場所でも、立ちションをよく見かけます…。同じように『それ人前でする?』というカルチャーショックで言えば、女の子でも普通に堂々と、人前で鼻をほじるんですよね(笑)」
衛生に対する意識は、「コロナ禍を経てやや改善されたように感じる」と三上氏は言うが、日本人が見ると驚く場面に遭遇することもまだ多いのだそう。
「ゴキブリはしょっちゅう見かけます。日本より大きく、その分動きが遅いんです。だから、飲食店や市場の人が、ゴキブリを見つけると手でつかんで外に捨てるのですが、その手でそのまま料理や野菜に触ったりする。『手、洗ってほしいな~』と思いながら見ています」
人間関係は日本人よりも近い傾向で、道端やカフェで近くに座った初対面の人同士が気軽に話すような雰囲気があるとか。ただ、そこにも心に引っかかる衛生意識が……。
「お店で隣に座っているおばちゃんが話しかけて来て、『ほら、食べなよ』と、パンとかお菓子をくれたりします。でも、大阪のおばちゃんがアメちゃんくれる感じと違うのは、パンやお菓子がむき出しなのに、手づかみで渡してくるところ(笑)」
コミュニケーションとして渡されるものであるため、抵抗感はありながらもにこやかに受け取るという三上氏。しかし、中には受け取れないものも。
「仲良くなると、故郷の実家に招待してくれる風習があるんです。そんな時、どこの田舎でも密造酒を作っていて勧められます。これは当然違法行為で、飲まないようにしています」
「仲良くしたい」という思いからの行動も、ギョッとする場面が多いのも文化の違いがあれば当然だ。ベトナムには、日本とは異なるコミュニケーション文化がまだまだある。
「私の日本人の知人がベトナムに来たときに、現地の人と一緒に食事をする機会があったのですが、その知人はスタイルが良くて胸も大きいんですよ。するとベトナムの子が『それ本物?』ってサラッと聞いていて、知人がしどろもどろになっていたことがありました(笑)」
日本で飛び出した会話なら「デリカシーがない」と一蹴されそうな質問だが、ベトナムではむしろ逆の意味があるという。
「知り合って間もない相手にも、『整形してるの?』ってサラッと聞くことはあります。でも、整形は高額なお金がかかるから、ベトナムの人にとっては一種のステータスなんです。だから、その人も全く悪気はないんですよ」
私たちが高級な時計をしている人に「いい時計してますね。どこのですか?」と聞くようなイメージに近いのかもしれない。
注意するのは人ばかりではない。年間の平均気温が30度を超える(東京15.8度、気象庁データより)ホーチミン市では、蚊が1年中飛び回っている。
「蚊が媒介するデング熱は怖いですね。ワクチンもまだ一般化していないイメージです。かかってしまうと2週間くらいは頭痛と発熱で寝込むことになりますし、重症化してデング出血熱になると、致死率も一気に上がるので注意が必要です」
さらに、蚊よりも怖いのが、”やけど虫”と通称されるアオバアリガタハネカクシという虫。
「刺されるのも大変ですが、体液に触るだけでもヤケドのような水ぶくれになって激痛になるそうです。体液がついた手で目を触ると失明することもある危険な虫です。日本にもいるのですが、気候的にベトナムには多いみたいで、タワマンの高層階に住んでいる友達の家にも出たらしい。だから、この国ではどこに住んでも気が抜けません」
怖いのは虫だけではない。私たちにはペットとして身近なあの動物も、時に怖い存在となる。
「犬の放し飼いが多いので、夜に市場を歩いていて、怒った犬と遭遇してこわい思いをしたこともあります。狂犬病の予防接種も受けていない犬も多いので、危ないですね。コロナで外出禁止令が出ていた時期は、放し飼いの犬たちだけが町をウロウロしていて、異様な光景でしたよ」
ホーチミン市では、バイクが生活の重要な足。公共の交通機関ではバスが中心となっているが、その乗車や降車時に日本では信じられない光景が待っていた。
「運賃は短い距離なら30円くらいで日本より断然安いです。ただ、乗ろうと思っているバスが来ても、徐行になるだけで止まらないこともあって、並走して飛び乗る必要があります。降りるときも、徐行している間に飛び降りるみたいな……」
しかし、交通に関しては環境の変化が急激に起きているのだという。
「去年までは、交通ルールはあってもわりと無視されていました。バイクで5人乗りしたり、歩道を走ったり、荷台に犬を乗せて、犬が絶妙なバランス感覚でプルプルしてたり(笑)。それが今年に入って、罰金も大幅に上がり、取り締まりも厳しくなりました。一般市民が交通ルールの違反を見つけて告発すると、お金がもらえる仕組みもできました。これはとてもいい傾向だと感じます」
文化や経済的な事情、国や法律のあり方でカルチャーショックも多い海外への移住。それでも三上氏は「ベトナムは楽しいし好きですよ」と話す。
移住を考えているならば、候補の一つに検討しても良いのではないだろうか。
(取材・文/Mr.tsubaking)
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