薬を過剰に使用することで頭痛が悪化する「薬の乱用頭痛」が急増している。継続して服用しないことが重要で、市販薬を月に10日以上使うとリスクが高まり、さらに、薬を予防的に飲むと脳の痛みに対する防御機能が低下し、悪循環に陥るという。
この時期、寒暖差などで頭痛に悩む人も多い。病院に行かずに薬を飲んで痛みを和らげるケースもあるが、その薬が頭痛の原因になっている可能性もあるという。
6日のテーマは「薬の乱用頭痛って、しってる?」。
頭痛の患者が多く訪れる東京・調布市の「にわファミリークリニック」を取材した。
患者(50代): 気圧の変化とかだと、ズキズキと響く感じ。コリの時というのは、ギューという感じです。
患者(50代):仕事で一番強い群発頭痛があって、様々色々なところが痛くて。ここに来てから、先生に色々診てもらって、だんだん今落ち着いてきています。
頭痛に悩む患者たち、その症状や原因は様々だ。
にわファミリークリニック・丹羽潔院長:首こりや肩こりの緊張型頭痛は約3000万人います。環境の変化やストレスなどによる片頭痛は女性に多いのですが、約1000万人はいます。ホルモンや体内時計の乱れなど諸説ありますが、群発頭痛は約15万人から60万人いるだろうと。
これらが三大頭痛とされているが、今新たな頭痛が急激に増えてきているという。
にわファミリークリニック・丹羽潔院長:本当は飲まなくてもいい時に(薬を)飲んでしまうので、だんだん回数が増えてきて、結局薬物乱用頭痛という状態が、多くなってきている現状です。
これが、今もうひとつの問題となっている薬の乱用頭痛だ。
50代(1日3~4回服用):週に多いときは1日に3~4回飲みます。仕事で事務が続いてるときは痛い。効く時と効かない時があります。
30代(月1回服用):夫が鎮痛剤をすごく飲むんです。夫は毎日のように飲んでて、心配なぐらい飲んでいます。しかも、水も使わずに飲んでいて心配です。ラムネみたいにボリボリ噛んでます。
クリニックに通い始めて1年の女性も、乱用頭痛の診断を受けた。
乱用頭痛患者(30代):毎日のように薬を飲むようになってしまって、(薬の)効きが良くなくなって、頭痛が治まらないことが多くなったので通うようになりました。
にわファミリークリニック・丹羽潔院長:飲む日にちを減らさないと治りません。1日いっぱい飲むことよりも、何日間飲むかの方が大事です。
丹羽先生によると、市販の鎮痛薬などを1カ月で10日以上服用している人は、乱用頭痛の可能性があるという。
市販の鎮痛薬にも、長期の連続した使用は避けるよう注意書きがされている。
本来は頭痛に効くはずの薬が、頭痛の原因となってしまうメカニズムは、まず頭痛への不安から予防的に薬を服用し、それによって脳が本来持っている頭痛を抑える機能が低下してしまい、その結果、脳が痛みを感じやすくなってしまい、また薬の服用が増えるという悪循環になるのだ。
こうした患者に対して、にわファミリークリニックでは、頭痛を防ぐ注射や漢方薬を使って治療している。
青井実キャスター:頭痛に悩む方は多いと思いますし、痛いから飲んでしまう部分もあるのでしょう。
宮司愛海キャスター:私も気圧とか偏頭痛持ちで、仕事のパフォーマンスに関わるから薬を飲んだ方が安心だと思ってしまうんですよね。予防的に飲むのはやめようと思いました。
遠藤キャスター:乱用頭痛の目安としては、1カ月に10日以上の服用とありました。例えば1日3錠を月に6日間、合計で月に18錠飲んでいるケースと1日1錠を15日分、合計15錠飲むケースだと、どちらの方が乱用頭痛になりやすいと思いますか?
青井キャスター:何日間というのが重要ですので、1日1錠15日間が乱用頭痛になるわけじゃないですか?
遠藤キャスター:そういうことですね。何日間が重要ということです。量ではなく何日間、しかも継続して飲んでしまうかということですが、薬は飲むと丸2日間は空けないといけないです。薬が体から抜けるのに、そのぐらい時間が掛かります。使用を継続することが危険ということです。
気をつけた方がいい危険な兆候としては、痛みがなくても予防で飲んでしまうことは危険です。また、明け方から起床時に頭痛が多いという方、そして徐々に薬が効かなくなったという方は、病院で乱用頭痛の可能性を診断してもらった方が良いかもしれません。
SPキャスターパックン:僕は、そもそも我慢するタイプで全然飲まないんです。イライラするから逆に怒られちゃうんですけどね。妻はすぐ飲むから聞いてみます。
使用過多など、使用上の注意をしっかり読んでから飲むことが重要だ。(「イット!」2月6日放送より)