家族の不在時を狙って住宅に押し入るなどして、合計10人の小学生女児に性的暴行を加えた罪に問われていた元病院職員の男(28)に、大阪地裁は2月18日、無期懲役の有罪判決を言い渡しました。▼事前に被害女児らの行動パターンを把握「言うこと聞いてくれたらお金あげる。500円でいい?」 元病院職員の柳本智也被告(28)は2016年~2022年、計10人の小学生女児(当時8~12)に対し性的暴行を加え、一部の女児にはケガをさせたとして、強制性交等致傷や強制性交等などの罪に問われていました。
これまでの裁判で柳本被告は、起訴内容を認めていました。 柳本被告は事前に尾行や見張りを行い、被害女児らの行動パターンや家族の不在時間などを調べてスマートフォンに記録。長いケースで犯行の約11か月前から尾行や見張りを行っていたといいます。 そして、被害女児らがそれぞれの自宅に入る際に一緒に押し入ったり、集合住宅の共用部分に侵入したりして、各犯行に及んだとされています。電気設備の修理業者を装って女児宅に侵入したケースもあったといいます。 各犯行時には、カッターナイフを示したり、「殺すぞ」「家族も殺されるで」などの言葉を使ったりして、被害女児らを脅したといいます。さらに「言うこと聞いてくれたらお金あげる。500円でいい?」などと、“お小遣い”で被害女児を手なずけようとした場面もあったということです。▼母親に「ごめんなさい」と泣き続けた被害女児 検察や被害者代理人の論告によれば、被害女児らは深刻な心の傷を負っています。 ある被害女児は、被害に遭った直後、帰宅した母親に「ごめんなさい」と何度も言って泣き続けたといいます。現在もなお、就寝の際に照明を消せない被害女児や、男性に対して恐怖心を抱く被害女児もいるといいます。▼検察側は無期懲役を求刑 被告は最終陳述で“社会復帰が許されるのであれば、周りの人を幸せにできる存在に” 検察側は「抵抗されるおそれの低い力の弱い小学生女児を狙い、自己の性欲を満たすことを優先して、思いとどまることなく約6年にわたり犯行を繰り返した」「犯行時間も短くて30分、長くて1時間半以上に及んでいて、執拗な犯行だ」と糾弾。 「被告は公判で『当時、女児と性交したいとは考えていなかった』『犯行中に被害女児が痛がっているのを認識してはいたが、気持ちよくなっていると思っていた』など、客観的に見て荒唐無稽な供述を行い、改善更生の意思が認められない」などとして、無期懲役を求刑していました。 一方で弁護側は「被告は治療のスタートラインに立っている」と訴え、有意懲役刑が相当だと主張していました。 柳本被告は最終陳述で「法廷で被害者側の声を聴き、自分が犯したことの重大さを再認識させられた」と述べました。一方で、意図は判然としなかったものの「(刑を終えて)出所してからが第2の懲役になる」と述べ、「もしこの先社会復帰が許されるのであれば、周りの人を幸せにできる、そんな存在になりたいと思う」という趣旨の発言もしていました。