グルメサイトに彼が投稿すると来店者数が急増する――。
これまで4000軒以上を食べ歩いたハンドルネーム「カレー細胞」こと松宏彰(まつひろあき)氏(写真)は、フリークの間でそう称えられている。今回、FRIDAYカレー担当のソンは松氏を訪ね、「これからバズる」至高のカレーを挙げてもらった。いくつか紹介しよう。
松氏によると、今年のカレー界のトレンドは「ビリヤニ」と「カツカレー」で、「お酒を飲みながら食べる」スタイルが流行るという。
「ビリヤニとはインドやその周辺国で食べられているスパイス炊き込みご飯で、お祝いの席で出てくるご馳走です。イメージとしてはパエリアやジャンバラヤに近い。肉がたっぷり入った贅沢なカレー料理として人気です。″通”の間では以前から知られていますが、昨年、セブン-イレブンでビリヤニ弁当が発売されるや早速、Xでトレンド入りを果たすなど、一般にも浸透しつつあります。
このトレンドの中で僕が注目しているお店の一つが、ジョニーのビリヤニ 神田店(東京都千代田区)です。本店は石川県にあるのですが、昨年6月に東京進出を果たしました。日本人シェフによる本気のビリヤニ専門店として知られる存在で、通販で買える同店の冷凍ビリヤニは年間1万食売れているそうです。本場のバスマティライス(インディカ種の高級米)を使っているのがポイント。女性が食べやすい量でサーブされるから、おひとりさまでもデートでも利用できるのではないでしょうか」
ビリヤニはさておき、古くからの王道であるカツカレーに再びスポットライトが当たっているのはなぜなのか。それはインバウンド需要の影響があるという。
「あまり知られていませんが、カツカレーは代表的な日本食として世界中から愛されているんです。実際、外国人観光客がカレー屋さんに入ってきて『カツカレー、まだありますか?』と聞き、『売り切れました』と言われて帰る、という場面をよく見かけます。カレーの本場から来たインド人も、日本ではカツカレーを食べるくらい人気なんですよ。
HUTCHERSON(ハッチャーソン・東京都世田谷区)では、カツ・ビンダルーって名前でカツカレーを出しています。『ビンダルー』は西インドのゴアという地域の名物料理で、ビネガーを使って酸味を効かせたカレーです。ハッチャーソンでは黒酢やタイのニンニク酢を使って、インドに絶対存在しないビンダルーに仕上げています。僕ですら、初めて食べた味でした。ここは珍しいクラフトビールも置いているので、お酒を飲みながら食べるといいですよ」
フレンチの技法を取り入れた新感覚カツカレーもおすすめだという。
「僕が大好きなPAIKAJI(パイカジ・東京都千代田区)のカレーは、石垣島の『ピパーツ』という島独自の胡椒やパイナップルなど南国の素材を使った、甘酸っぱいフルーティーな味わいが特徴。それでいて、シェフが元フレンチの料理人だから、フォン(洋風出汁)の旨味が濃厚に出ているんですよ。そこに載っているカツは『バーグカツ』という、ハンバーグに小麦粉を薄めにつけて揚げたもので、さっぱりしていて食べやすい!」
『FRIDAY』2025年2月21・28日合併号より