大阪の閑静な住宅街で8年間、暴言や騒音など“迷惑行為”を続ける男が、2月21日に逮捕されました。逮捕容疑は『車の通行を妨げた』というものです。男はなぜ迷惑行為を繰り返すのでしょうか。
(Aさん)「すごく驚いています。急展開というか、びっくりですね」
大阪府茨木市のAさん。こう話すのは、8年間悩んでいた問題に大きな動きがあったからです。
2月21日、茨木市の無職・大堀睦明容疑者(63)が逮捕されました。逮捕容疑は道路交通法違反。2月15日、茨木市の自宅近くの道路で自転車を放置し、車の交通を妨げた疑いで、現在も勾留されています。
視聴者が撮影した犯行当時の様子を見ると、大堀容疑者が自転車を押しながら車に近づいていき、自転車を倒して行く手を阻みました。車の近くで杖のようなものを振り回す様子も。
【視聴者提供の動画より】 (大堀睦明容疑者)「はよ行けやおい!」
車に向かって挑発的な態度も取ります。さらに、反対側の車線に飛び出て車は急ブレーキを余儀なくされました。
大堀容疑者をめぐってはこれまでも…
(Aさん)「思いきり大きい声で暴言を直接吐かれる。『うるせぇババア』みたいな感じで大きい声で言われて。近所の人たちもトラウマになっているので。もう怒り…怒りですね。怒りしかないですね」
近所での“迷惑行為”がたびたび確認されていたというのです。
【近所の人が撮影した動画より】 (大堀容疑者)「出てこいや!文句があったら出てこいや!××、おいお前××。お前らな、己のやることもできなくて昭和の人間と言えるのか。恥ずかしいと思わんか××。バカモノ、ハゲ!ふん!」
大堀容疑者は個人名を挙げて暴言を吐き続けます。
(大堀容疑者)「警察呼べ。呼べ呼べ。逮捕状でも請求せえ。何度でも逮捕されたろ。それくらいこっちは腹くくっているんやぞ。腹もくくっていない男。ぴ~。×××ついとんのか貴様ら!」
家の外に出て、他の住民らを挑発するような発言を繰り返します。住民の通報を受け、駆けつけた警察官には…
(警察官)「通してもらっていいですか」 (大堀容疑者)「役職はなんですか?」 (警察官)「通してもらっていいですか」 (大堀容疑者)「なんのためにきた?」 (警察官)「危ない危ない。撮らないでもらっていいですか」
警察が注意や指導を繰り返しても、逆に携帯電話で撮影する始末。一向に止める気配はありませんでした。
さらに、大堀容疑者の“口撃”は宅配業者にも。
(大堀容疑者)「降りてこいと言うたら降りてこんかい。次から徐行せえよ、次から徐行せえよ!」
別の日の朝6時。住宅街に鳴り響いているのは軍歌です。Aさんによると、深夜のときもあるといいます。
(Aさん)「(Q基本的には軍歌だけですか?)こういった類の系統の曲です。あと梅沢富美男の『夢芝居』」
住民が迷惑だと訴える行為の数々。住民が本人に指摘した際には。
(大堀容疑者)「クソババア。はよ死ねよ。ひとりごとや」 (Aさん)「いま殴ろうとしましたね?」 (大堀容疑者)「殴ってませ~ん」 (Aさん)「触れようとしましたね?」 (大堀容疑者)「警察呼んだろか。気色悪い。終わってるなこの人。ひとりごとですよすべて。ばかな女やな。ひとりごと!」
暴言を吐くときは、よく「ひとりごと」と付け加えるといいます。
大堀容疑者は以前は別の地域に住んでいましたが、8年前、実家の今の家に移り住み、1人暮らしだといいます。玄関先には複数のカメラが設置されていました。
実は、家の所有者は大堀容疑者の親族で、迷惑行為の数々を聞いた親族は、大堀容疑者を相手に家から出ていくよう求める裁判を起こしています。
ただ一審の大阪地裁は2月、「近所トラブルは大堀容疑者と住民との間の問題に過ぎない」として親族の訴えを退ける判決を出しました。つまり、「大堀容疑者が家から出ていく必要はない」と判断したのです。
Aさん以外の住民も大堀容疑者の行為に頭を悩ませていました。
(近所の住民)「今までなにも(ない)平和な地域だったのに。あの方が来られてから。本当にどうにかしてほしい」 (近所の住民)「もう本当に限界じゃないですかね。見ていて不快ですし、いろいろな事件が今あるので、事件に発展したら怖い」 (近所の住民)「いつか自分も巻き込まれるのではないかと。迷惑ですし、怖いなとずっと思っています」
なぜ迷惑行為を繰り返すのか。逮捕前の1月、取材班が本人を直撃しました。
(大堀容疑者)「(住民らに)言わっれぱなしやから。いわば風評ですわ」
取材に応じた大堀容疑者は持論を語り始めます。
(大堀容疑者)「小学校1年生の女の子が自転車を降りて、(近所の)信号機のない横断歩道で。(横断するのを)待っているのに(車が)止まりませんよ」
大堀容疑者は、『近所での交通マナーの悪さ』を指摘しようとしたことだと主張します。では、それと迷惑行為とがどうつながるのでしょうか。
(大堀容疑者)「取締りを依頼したわけ。(警察は)無反応な。(だから警察を)呼ぶためにわざとやった。分かるか?」 (記者)「それと大声で騒ぐことはどう関係?」 (大堀容疑者)「関係あんねん。注意喚起や。注意喚起!わからんか意味が?」 (記者)「何の注意喚起ですか?」 (大堀容疑者)「そういうことや。警察に対するアレとか」 (記者)「早朝や深夜に大音量で曲をかけるのは?」 (大堀容疑者)「だからそれは言ってるやん。(私の)取締りの依頼に対してうんともすんとも反応しない、取締りもしない警察を呼ぶため」 (記者)「警察を呼ぶため?」 (大堀容疑者)「そのとおり」 (記者)「自分で警察署に行けばよいのでは?」 (大堀容疑者)「なんで行かなあかんねん」
一連の行動は、交通違反を取り締まらない警察へのアピールだというのです。さらに。
(大堀容疑者)「近隣でも一緒や。あいさつをしない人間。会釈もしない」 (記者)「住民らを懲らしめるため?」 (大堀容疑者)「懲らしめる意味は全くない!」 (記者)「どういう意味ですか?」 (大堀容疑者)「だから注意喚起やと言うとんねん」 (記者)「誰への注意喚起ですか?」 (大堀容疑者)「分からん人やなぁ。想像力を働かせろ。分からんのやったら次の機会にしよ」
一向にかみ合わない会話。しかし、取材班が「これ以上迷惑行為をしないよう」求めると…
(記者)「これからは…」 (大堀容疑者)「もうやらへんて言ってるやろ!しつこいな!」 (記者)「やらないですね?」 (大堀容疑者)「やらないと言うたらやらないやろ!」 (記者)「もうやめてくださいね?大きな音を」 (大堀容疑者)「やりませんて!しつこいな!男というか俺という人間が1回『もうやらん』と言ったらやらんやろ!」
しかし、「もうやらない」と言っていた約3週間後。大堀容疑者は近所で迷惑行為を続けていました。これも、警察を呼び寄せるための行動だったのでしょうか。
大堀容疑者は警察の調べに対し「自転車のスタンドが壊れていたから倒していただけ」と容疑を一部否認しているということです。
大堀容疑者の迷惑行為に8年間悩み続けるAさん。こう訴えます。
(Aさん)「見たくないんですよもう。声も聞きたくないですし、顔も見たくないですし。自分の迷惑行為を認めて、安心安全な暮らしを取り戻したい」