家族の不在時を狙って住宅に押し入るなどして、あわせて10人の小学生女児に性的暴行を加えた罪に問われている、元病院職員の男(28)。2月4日に大阪地裁での公判で、検察側は無期懲役を求刑しました。▼事前に被害女児らの行動パターンを把握 カッターナイフで脅すなどして性的暴行「言うこと聞いてくれたらお金あげる。500円でいい?」 元病院職員・柳本智也被告(28)は2016年~2022年、小学生女児計10人(当時8~12)に対し性的暴行を加え、一部の女児にはケガをさせたとして、強制性交等致傷や強制性交等などの罪に問われています。

これまでの裁判で柳本被告は、起訴内容を認めていました。 柳本被告は被害女児らの行動パターンや家族の不在時間などを調べるため、事前に“下見”し、スマートフォンに記録。被害女児らがそれぞれの自宅に入る際に一緒に押し入ったり、集合住宅の共用部分に侵入したりして、各犯行に及んだとされています。電気設備の修理業者を装って女児宅に侵入したケースもあったといいます。 各犯行時には、カッターナイフを示したり、「殺すぞ」「家族も殺されるで」などの言葉を使ったりして、被害女児らを脅したといいます。さらに「言うこと聞いてくれたらお金あげる。500円でいい?」などと“お小遣い”で被害女児を手なずけようとした場面もあったということです。▼母親に「ごめんなさい」と泣き続けた被害女児 被害女児らは深刻な心の傷を負っています。 検察側の論告によれば、ある被害女児は、被害に遭った直後、自宅に帰ってきた母親に「ごめんなさい」と何度も言って泣き続けたといいます。現在もなお、就寝の際に電気を消せない被害女児や、男性に対して恐怖心を抱く被害女児もいるといいます。▼検察側は無期懲役を求刑 被告は最終陳述で “この先社会復帰が許されるのであれば、周りの人を幸せにできる存在になりたい” 2月4日の大阪地裁での公判で検察側は、「短くて犯行の4日前、長くて11カ月前から、被害女児の帰宅時間の外出状況を調べ、スマホに詳細にメモするなど計画性が高い。犯行時間も短くて30分と執拗な犯行である。他に人がいない状況で、カッターナイフを示され『殺す』と言われれば、大人でさえ恐怖を感じる」などと指摘。「被害児童の人格を無視した卑劣な犯行」と糾弾し、無期懲役を求刑しました。 一方、弁護人は「被告は治療のスタートラインに立っている」と訴え、有意懲役刑が相当だと主張しました。 柳本被告は最終陳述で、「法廷で被害者側の声を聴いて、自分の犯したことの重大さを再認識させられた」と述べました。一方で、意図は判然としなかったものの「(刑を終えて)出所してからが第2の懲役になる」と述べ、「もしこの先社会復帰が許されるのであれば、周りの人を幸せにできる、そんな存在になりたいと思う」という趣旨の発言もありました。 判決は2月18日に言い渡されます。(MBS大阪司法担当 松本陸)