「親には “我慢して偉いね” と自分のしんどさを認めて欲しかったです」と語るのは、きょうだい児(病気や障害のある兄弟姉妹がいる子ども)の七宮絢音さん(25歳)だ。
7歳下の末の妹には、中度の知的障害とてんかん発作があり、親は妹が発作を起こすと学校に迎えに行くなど、かかりきりだった。きょうだい児は、親の愛情不足やヤングケアラーとしての責任感やストレスを抱えたり、自分の欲求や夢を犠牲にしたりしがちだ。
「親と離れたことで、親の気持ちも理解できるようになりました。当時は、“大変だとは思うけど、子どもの人生に責任を取るのが親でしょ” という気持ちが強かったです。今は、両親も大変だったと思うようになりました。離れたことでありがたみも感じました。周囲からは “長女だし家のことは頼むよ” と言われていましたが、母は逆に、私に我慢させたくないと思っている気持ちも伝わってきました。だから、東京にも来られたんだと、客観的に見られました」