昨今、美容整形の低年齢化が問題となっている。手術に踏み切るのは中高生かと思いきや、なんと小学生もいるというのだから驚きだ。その背景として、昔と比べ電車の中の広告やテレビCMだけでなく、SNSにも美容整形の情報があふれていることが挙げられる。さらにインフルエンサーが自らの整形体験を発信することも珍しくなく、幼くても簡単に情報収集することが可能だ。そのため、子どもたちにとって美容整形はとても身近に感じられるものとなった。そんな中、娘ではなく母親の方が美容整形を受けさせようとするケースもあるようだ。
東京都在住の菜々子さん(仮名・37歳)は小学生の娘(澪さん・仮名・12歳)の容姿が他の子と比べ劣っていると悩んだ経験があると語る。彼女は、優しい目元が印象的で石原さとみに似ている。
「自分で言うのもなんですが、私は顔が可愛いこともあり、昔から男性によくモテました。好意を寄せてくれる人の中から、会社を経営しているという好条件の男性(司さん・仮名・40歳)を選んで結婚することに。その後、娘にも恵まれ、今では家族3人でタワーマンションの最上階に住んでいます」
まさに順風満帆な人生を送る菜々子さん。しかし、彼女には一つどうしても気になって仕方ないことがあるという。
「それは出産当初から、我が子を『可愛い』と思えなかったことです。私は、ぱっちりとした二重なのですが、娘は夫にそっくりな一重なので『私に似たら、さぞかし可愛かっただろうに』と不憫に感じてしまって……。なぜなら、容姿さえ良ければ、それなりにいい思いができると身をもって知っているからです。娘が成長するにつれその思いは強くなる一方でした」
菜々子さんは、子どもの頃から可愛くて人目を引いたので、常にクラスの中でもリーダー格だったそう。そのため大人になった今も、同じタワーマンションに住むママ友グループのボスママ的存在だという。
「その中でも、娘の友達の紗良ちゃん(仮名・12歳)とその母の歩さん(仮名・39歳)とは特に親しくて、お互いの部屋をよく行き来しています。子どもたちの遊ぶ姿を見ていると『うちの子は目が細いけれど、紗良ちゃんは瞳がとても大きくて可愛い』という思いがよぎって……。勝手に見比べては、我が子の容姿が劣ることに落ち込んでばかりいました」
ある日、みんなで出かけた先に撮影スポットがあったので、子どもたちの写真をスマホで撮ることにしたのだとか。
「出来上がりを見た歩さんに『澪ちゃんなぜムッとしているの? 目つきが悪く写っているね』と言われました。その発言に悪意はないとわかっているのですが……。娘が一重だからそんな風に見えるのだと、より一層気持ちがへこんでしまいました」
そんな日々を過ごす中で、ネットを見ていると「子どもの美容整形」のニュースが目に留まったという。この記事を読んで菜々子さんはある思いに至った。
「早速、娘に美容整形を受けさせようと考えました。私自身何の知識もないので、ネットで情報収集することに。そして、娘に『お母さんみたいな二重になれば、あなたも可愛くなれるよ』と語りかけて。さらに『二重埋没法なら、まぶたを切らずに済むよ』『手術時間も短くて、痛みや腫れも最小限』と説明。続けて『傷跡もほとんど残らないし、ダウンタイムも比較的短い』と一気に畳みかけたのです。ダウンタイムはなるべく人と顔を合わせることのないよう、春休みに手術を計画することにしました」
澪さんが春休み明けに中学生になるので、美容整形を受けさせるにはベストタイミングだと考えたという。娘に有無を言わせず、自らの整形体験を語るインフルエンサーの動画を見るよう指示したそう。
「当然、美容整形にはある程度の費用がかかります。ですので、夫に『澪は友達より目が小さいことで悩んでいるのよ』『だから、美容整形したいと言っている』と嘘をつき、その場にいた娘に目くばせをして、そっと頷かせました。彼は驚いた様子を見せたものの『それで、澪のコンプレックスが解消されるなら』と手術を認め、費用も負担してくれることに。その後、有名な美容整形クリニックでカウンセリングを受けるため、電話で予約を入れました」
娘の美容整形をくわだてる菜々子さん。これで、自身の長年の悩みが解消されるかと思うと胸の高鳴りが抑え切れなかったという。しかし、彼女の思うように事が進むことはなかった。
記事後編は【小6娘に「二重整形」をさせようとした37歳セレブ美人主婦…思いがけない「娘の行動」に抱いた罪悪感】から。
小6娘に「二重整形」をさせようとした37歳セレブ美人主婦…思いがけない「娘の行動」に抱いた罪悪感