2022年7月8日、奈良市で銃撃され絶命した安倍晋三元首相。殺人などの罪で起訴された山上徹也被告は、犯行動機として世界平和統一家庭連合(以下、旧統一教会)に対する恨みをあげた。この衝撃的な事件を契機として、世間は宗教2世たちの苦しみを知ることとなった。
現在は主婦として平穏な家庭を持つ田中浩子さん(仮名・40代)は、「まったく他人事とは思えない。自分の性格上、誰かを殺すことはないけれど、自死を考えたことなら数え切れない」と振り返る。彼女が調べた限りでは、旧統一教会信者だった父親の献金総額は1億円を優に超えている。宗教に翻弄され続けた2世としての半生に耳を傾けた。

田中さんが実態を知ったのは、父親の死の直後ではなく、それからしばらく経過してのことだ。