2015年4月、栃木県佐野市の小学校でママ友同士が相次いで自殺をした。そのショッキングな事実もさることながら、後にそのきっかけが他のママ友からの「いじめ」だったことも判明した。
筆者も当時、現地で取材を続けていたが、当該小学校の関係者は、「ボスママの主導でいじめが行われていた」ことや「いじめに加担しないと、今度は自分がいじめに遭う」という、ボスママによる“恐怖政治”が行われていたことを何度も証言していた。
子ども同士が介在するママ友の関係は、母親が自分の意思とは関係なく参加させられる特殊な“友達コミュニティ”である。異論を唱えたり、独自の判断で行動する人間は排除されやすい。ゆえに嫌な意見にも表面的に迎合せざるをえないことが度々おきる。良識的な母親にとっては、かなりのストレスだろう。
そんな母親の弱みにつけこむかのように、傍若無人にふるまうママ友はいつの時代も存在する。ここではそんな母親たちの被害をレポートする。
ケース1「セレブを鼻にかけるママ友に妬まれた結果…」
栃木県・谷口英恵さん(仮名・39歳)
「隣人でもあり、子ども同士が同じ幼稚園に通って以来のママ友でもある沙織さん(仮名・43歳)は嫁ぎ先が地主で、ご主人は地方議員です。私は彼女の他人を見下すような振る舞いが昔から苦手でしたが、引っ込み思案なうちの娘にとって、沙織さんの娘さんは唯一の友達と言っても良い存在だったので、親しくせざるを得ませんでした」
日頃から「うちの子が仲良くしてあげなかったら、●●ちゃんはずっとひとりぼっちだったわよねぇ」などとマウントをとられてきた英恵さんは、有無を言わせぬ沙織さんの物言いに従い、まるで便利屋か家政婦のような扱いを受けていた。多くの議員妻は、自身の評判が選挙の票に直結するため、慎重な行動を取る方が多いが、この沙織さんは違ったらしい。
「週末ごとに飲み歩く彼女の送迎をしたり、家の掃除や片づけをやらされたり、急に娘さんを預かることになったり…。いつだってこちらの都合などはおかまいなしの彼女の態度に腹が立ちましたが、子ども同士の関係にヒビがはいるのが怖くて、言いなりになっていました」
経済的に裕福な沙織さん一家は学校の長期休みの際、家族で海外旅行に行くのが恒例だったそうだが、そんな時も、留守を預かるのは英恵さんの役目だったという。
「彼女の家の宅配便を受け取ったり、庭の手入れをしたり、家族中全員で彼女の愛犬の世話などもさせられました。彼女の愛犬は飼い主同様にわがままで無駄吠えと噛み癖があって大変でしたが、根気よく躾をしながら面倒を見ていたんです」
留守番を頼まれるばかりだった英恵さん一家が、娘さんの小学校卒業祝いにハワイに行くことになった時のこと。特に何かをお願いすることもなかったが、5日ほど留守にするということで、英恵さんは沙織さんに連絡をしたという。
「沙織さんはハワイという言葉に反応し、『よくそんなお金があるわねぇ』とか『ハワイなんて分不相応じゃない?』と嫌味の連発でしたが、初めての海外旅行に浮かれていた私たちは気にせずに出発しました。
旅行の様子をその都度SNSにアップし、フォロワーさんたちからは羨ましがられていたのですが、沙織さんからは『初めての海外旅行で舞い上がってない(笑)』とか『アラフォーの水着はイタすぎでしょ(苦笑)』など、水を差すコメントを何回もつけてきました」
そんなこともあり、沙織さんの書き込みで楽しい気分がぶち壊しにならないよう、コメント欄を途中で閉じて旅行を続けたというが、たくさんの思い出とともに幸せな気分で帰宅したところ、「とんでもないことが起きていた」という。
つづく後編記事「ママ友たちの虚栄心や嫉妬がつらすぎる…家族旅行から帰ってきて呆然!耳に入ってきた「異音」と判明した「悪意」」では、姑息な嫌がらせによって、文字通り「冷や水を浴びせられた」という顛末をさらにリポートする。
ママ友たちの虚栄心や嫉妬がつらすぎる…家族旅行から帰ってきて呆然!耳に入ってきた「異音」と判明した「悪意」