「今回、楓は本当にバカなことをしたと思ってるはずです。斎藤知事が当選したのは自分の手柄だということを、アピールしたかったのでしょう。楓のSNSはたまに見ていますが、自慢ばかりですから」
こう言って苦笑するのは、兵庫県西宮市のPR会社社長・折田楓氏を幼少期からよく知る知人だ。
数々のパワハラやおねだり疑惑を乗り越えて、“奇跡の再選”を果たした斎藤元彦兵庫県知事。
「今後、斎藤氏のパワハラ疑惑を追及する百条委員会の開催が予定されていますが、それ以上に不信の目が向けられているのが、選挙活動を手伝ったとされるPR会社の『公職選挙法』違反疑惑です」(全国紙・社会部記者)
騒動の発端は、PR会社「merchu」の折田氏が11月20日、自身のメディアプラットフォーム「note」で公開した兵庫県知事選での「広報全般」の仕事をまとめた記述だ。
「公選法では、選挙活動で報酬を支払える対象は事務員やウグイス嬢、手話通訳者らに限定されますから、それらではないSNS運用を仕事として請け負い、報酬を得ていれば同法に違反する疑いがもたれます。当然のことながら、折田氏に疑惑についての説明責任があります。折田氏への接触に成功したANNによると、取材に対して『(弁護士から)答えるなと言われています』と語ったようです」(前出・社会部記者)
25日に記者団の取材に応じた斎藤知事は、この疑惑について「(PR会社に)ポスターの制作などを70万円ほど支払って依頼した」「SNSについては(斎藤氏)本人、斎藤事務所が主体的にやっており、PR会社の折田代表はボランティアとして個人で参加された」などと語っている。
一躍、時の人となった折田氏だが、そもそも“黒子”であるはずの彼女は、なぜ選挙戦略を暴露したのだろうか。
「自己承認欲求が強い性格だったといわれています。彼女は慶應義塾大学SFC出身で、パリへの留学を経て外資系銀行に就職。その後起業するという経歴の持ち主です。SNSには、ハワイの高層ホテルからの眺めやアフタヌーンティを楽しむ様子、ブランド品を身に着けた姿などが投稿されている。投稿のいくつかには、有名人が広告案件の投稿につけるハッシュタグ『#pr』と入ったものも多く、インフルエンサー的な活動していたようです」(前出・社会部記者)
冒頭の知人は、折田氏の実家は高級住宅街にあり、裕福な家庭の“お嬢様”という環境で育てられたという。
「楓の父親は開業医をやっていて、とてもプライドが高い人でした。母親も婚活の会社を経営していて、とにかく自慢したがる人でしたね。楓は中学生になったころから母親に性格が似てきたのか、やたらと自分を誇示したがるようになりました。
ただ、彼女も苦労しているんですよ。母親が長い間闘病生活を送っていて、楓が面倒を見ていました。5年前に亡くなったときも、家族で揉めごとが起こったり大変だったと聞いています。今は結婚して、幸せにやってると聞いていたので安心していたのですが……」
斎藤知事の代理人弁護士は11月27日、神戸市内で記者会見をおこない、折田氏が「note」に綴った記事内容について「事実である部分と事実でない部分が記載されている。広報の現場をまかせたということはない。そういう意味で、盛っているのか、盛っていないのかというと、盛っているという認識です」と述べた。
一方の折田氏は騒動後、マスコミの前にいっさい姿を現わしていない。
「11月21日、折田さんが父親と旦那にともなわれて県警本部を訪れたそうです。身辺が危険に晒されているということで、保護願いに来たのでしょう」(捜査関係者)
折田氏の関係者は、これまでの斎藤知事の対応にこう首をかしげる。
「斎藤知事は今回の騒動が起こった後、全部彼女のせいにしてバッサリ切ったじゃないですか。知事のパワハラを追及した職員をバッサリ切ったのと同じですよ。それこそ、斎藤知事の気質をあらためて証明したようなものです」
彼を返り咲かせた“功労者”は、今何を思っているのか――。