長閑な伊豆の田舎町で異彩を放つ要塞のような大邸宅。近隣住民は「謎のロシア人がたまに来る」と訝しむが、そこはプーチン政権を支える世界的大富豪の別荘だった。知られざるお忍び来日を明かす。
「あそこは『謎のロシア人大富豪』の別荘ですよ。怖いのでそれ以上は調べようと思いません」
静岡県伊東市の中心部から南へ車で30分ほど行ったところに、富戸という地域がある。観光地から離れた長閑な田舎町だが、この町には地域住民の間で有名な一軒の大邸宅が建っている。
住民たちが冒頭のように口を揃える別荘は、海沿いの住宅街に突如現れる。300m近く続く長大な生け垣に多数の防犯カメラが設置され、背後は断崖絶壁。中の様子を一切窺い知ることができない、まさに要塞だ。
近隣住民によると、「謎のロシア人」が別荘を構えたのは10年ほど前。以来、頻繁に別荘を訪れており、「大型発電機の音がうるさくて眠れない」といったトラブルもあるという。別の住民が言う。
「今年10月に地域のお祭りがあったんですが、富戸にいるわけがないロシア人美女が参加していた。片言の日本語だったのでよくわかりませんでしたが、『富豪の関係者』と言っていました」
登記簿を確認すると、土地は約5500屐建物は地下1階地上2階建てで延床面積は約420屐’13年に英国領バージン諸島の企業が購入し、昨年からは東アフリカのセーシェル共和国の企業が所有している。
また、セーシェル共和国のこの会社は、東京・青山にも物件を所有。表参道駅から徒歩5分ほどの一等地にあり、美術館と見間違えるようなガラス張りの5階建ての豪奢な建物だ。
二つの邸宅の持ち主である「謎のロシア人」とは何者か―。取材を進めた本誌は、両邸で働いたことのある家政婦にたどり着いた。特定を避けるため本稿では仮名で安田さんとするが、50代のベテラン家政婦だ。
彼女の口から明かされた富豪の名は、オレグ・デリパスカ(56歳)。ロシアの新興財閥「オリガルヒ」の中心メンバーである。
「オリガルヒ」はソ連崩壊時の混乱に乗じて富を形成した企業集団で、プーチン政権に忠誠を誓うことで事業を保護され、石油や天然ガス、金融からメディアまでを支配。総資産は82兆5000億円にも上るとされる。
そんな財閥のなかでデリパスカは、世界有数のアルミ会社を設立した「アルミ王」の異名を持つ大富豪だ。フォーブス誌によると総資産は約4000億円、世界富豪ランキングで9位に入ったこともある。
ロシアのラブロフ外相のパトロンとされ、プーチン大統領とも昵懇の仲として知られるデリパスカは、’22年2月のウクライナ侵攻以前から、欧米の厳しい経済制裁を受けている。米国内の邸宅を家宅捜索されたり、海外に所有する資産を凍結されたりしているが、どうやら日本の「別荘」は無事。直近では今年8月に来日しており、NHKのインタビューに応じるなど積極的に活動している。
後編記事『「接待要員」のロシア人美女軍団を連れて来日…!移動はヘリ、地下には温水プール…!ロシア巨大財閥「オリガルヒ」の中心人物が「伊東の極秘別荘」で送る「ケタ外れの金満生活」』へ続く。
「週刊現代」2024年11月30日号より
「接待要員」のロシア人美女軍団を連れて来日…!移動はヘリ、地下には温水プール…!ロシア巨大財閥「オリガルヒ」の中心人物が「伊東の極秘別荘」で送る「ケタ外れの金満生活」