一体、何を観せられているんだろう――。そう戸惑う視聴者が続出中の、NHK連続テレビ小説「おむすび」。9月30日のスタート以来、視聴率は低空飛行を続け、“最低記録更新”も現実味を帯びている。
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「“ギャル話”に、朝ドラのメイン視聴者である高齢者がついていけない。低迷の理由はこれに尽きます」
こう指摘するのは、さる民放プロデューサーである。
舞台は2004年の福岡県。橋本環奈(25)演じる女子高生の成長物語だが、のっけからギャルのグループに入るの入らないのと、あまりにさまつなテーマで視聴者を置いてきぼりに。
「1週目の平均視聴率(関東)は16.1%と並でしたが、2週目は14.7%、3週目の初日は12.6%と、長らく見ない数字をたたき出した。4週目から橋本の姉役で仲里依紗が登場し、起爆剤になるかと期待されましたが、低迷は変わらず。このままだと放送時間が朝8時になった10年以降で最低になってもおかしくない」(同)
朝ドラの歴代最低視聴率は、09年下期の倉科カナ主演「ウェルかめ」で、平均視聴率は13.5%。「おむすび」は歴史的な“大台”にさしかかっているのだ。
「どちらもNHK大阪放送局が制作で、『ウェルかめ』は徳島、『おむすび』は福岡と、地方が舞台。ヒロイン役の倉科も橋本も役者出身ではない。共通点が多く、嫌な予感がしました」(前出のプロデューサー)
不名誉なヒロインになりかねない橋本だが、先日、今年の紅白歌合戦の司会を務めると発表された。
「22年の紅白での進行ぶりが好評で、今期の朝ドラヒロインの橋本が抜てきされるのは分かりますが……」
と続ける。
「有吉弘行の再起用には、正直驚いた。それで確信しましたよ。NHKの“高齢者切り”は本気だ、と」(同)
有吉といえば、歴代最低視聴率だった昨年の紅白で初めて司会を務めている。
「10本以上のMC番組を抱える彼は、若者からの支持は厚いですが、毒舌キャラゆえに高齢者からの評判と数字はイマイチなのは常識。そもそも、NHKの顔でもないですよね」(前出のプロデューサー)
そんな彼を懲りずに起用し、朝ドラではギャルにパラパラを踊らせる。かくも露骨な“高齢者無視”の背景には何があるのか。
「NHKの収入は受信料で成り立っています。高齢者は100%近く契約済みで、放っておいても死ぬまで銀行口座から引き落とされる。一方で、契約率の低い若者には、番組を観てもらうことが喫緊の課題。そのために、人気タレントを起用する。こうした流れは、お年寄りに大好評だった立川志の輔の『ガッテン!』を終わらせて、石原さとみのMC番組を始めた22年から、加速するばかりです」(同)
NHKの“若者追従”にガッテンがいかないのは、OBも同様のようである。
「老人の楽しめる番組が非常に少ないですね」
そう嘆くのは、元NHKアナウンサーとして、紅白の司会を計13回担当した山川静夫氏。
「例えば、三味線音楽のような古典芸能、伝統芸能を本格的に堪能したいと思っているのに、すごく隅に追いやられているんですよ」
そして、古巣に進言する。
「紅白にしても、前半は年寄り向け、後半は若者向け、というように、分けることを考えてもいいんじゃないでしょうか。若い人には若い人の、年寄りには年寄りの好みがあるわけですから、それぞれにちゃんとサービスする。古くからの視聴者にも恩恵を与えるNHKであってほしいと思います」
“新規客”の獲得のみに血眼になるNHKに、こうした声が届くかどうか――。
「週刊新潮」2024年11月7日号 掲載