なりたい夢があっても食っていけるかわからない。そんな狭間で多くの人が道に迷う。カルト的人気を誇る漫画『国民クイズ(作画)』や『バカとゴッホ』などの作品で知られる漫画家・加藤伸吉さん(58歳)は、今年から生活保護を受給して生活している。それでも漫画という道を選んだことに後悔はないと語る、その理由とは――。
◆生活スペースは「半分以下」に

◆劇中画を担当するも「引き受けるんじゃなかった」

直近の大きい仕事は、1年前。実際の障害者殺傷事件を題材にした原作の映画『月』で、劇中画を担当した。植松聖死刑囚にあたる、磯村勇斗さんが演じる青年が描く絵だ。植松聖死刑囚は、絵が得意だったことで知られる。

「いままで映画に携わったときは、告知してたけど、今回はあんまり胸を張ってやりましたって言えなかったよね。久しぶりの仕事でありがたかったけど、作業しているときは、引き受けるんじゃなかったって思った。頼まれた仕事とはいえ、やっぱり拒否感があったから。

植松(死刑囚)が書いた絵とか大嫌いだし。いろいろ資料をもらいましたけど、これを真似して描くのは絶対嫌だった。一番マネしたくなかったのは、ブッダみたいな宗教家もどきの画。なにも信仰もないのに、宗教画を迂闊に描くのは冒涜だよなって。