「薬持っているよ。買わない?」
こう声をかけ、男は女子高生らに市販薬を大量に売っていたという――。
9月25日、警視庁少年育成課は医薬品医療機器法違反(無許可販売)の疑いで住所不定無職の高橋光夢(ひろむ)容疑者(22)を逮捕した。東京都新宿区の歌舞伎町に集まる『トー横キッズ』の少女ら3人に、無許可で市販の風邪薬などを販売したとされる。高橋容疑者は『パンダ』を名乗り『トー横』に出入りする、歌舞伎町では有名な人物だという。
「逮捕容疑の事件は、今年6月17日に起きました。高橋容疑者は17歳の女子高生ら2人に、抗アレルギー薬440錠を無料で配布。20代の男性に対しては、咳止め薬約400錠を1万円で売ったとされています。女子高生らは、薬の過剰摂取(オーバードーズ)により興奮状態になることを目的に購入したと思われます。
警察が1週間後の6月24日に、薬を購入したとされる女子高生を別件で補導。彼女の供述などから高橋容疑者が浮上しました。調べに対し、高橋容疑者は『覚えていません』と犯行を否認しているそうです」(全国紙社会部記者)
本誌カメラマンは、9月27日に行われた高橋容疑者の送検を撮影。長髪に大きめのマスクで口を覆い、表情を変えることもなく護送車へ乗り込んだ。
高橋容疑者が逮捕されるのは今回が初めてではない。同様の罪で昨年11月にも捕まり、罰金30万円の有罪判決を受けている。
「高橋容疑者は昨年7月から9月にかけ、『トー横』で10代の女子高生や男子高生らに風邪薬40錠を定価の半額以下にあたる1000円程度で販売していたそうです。当時、高橋容疑者は警察に対し『これまでに10人ほどに売った』と供述。高橋容疑者の自宅などからは市販薬約2000錠が見つかっていました。
高橋容疑者は、次のような驚きの誘い文句で薬を無許可販売していたとされます。『このあたりでは一番安く売っているよ』『オーバードーズのためじゃないと売らないよ』と。薬の過剰摂取は当然、危険な行為です。高橋容疑者は、危険であることを知りながら市販薬を大量に売っていたと思われるんです」(同前)
オーバードーズは、急性薬物中毒や肝障害を起こす可能性がある。警察は「命が危険にさらされる」と強く注意をうながしている。