9月26日、兵庫県の斎藤元彦知事は県議会の不信任決議が可決したことに対して、議会は解散をせず30日付けで失職し、“出直し選挙”に臨むと発表した。
辞職を選んで知事選で再選した場合は来年7月末までの任期だったが、 “失職”という形で出直し選挙で再選すれば、新たに4年間の任期が与えられる。
元大阪府知事の橋本徹氏は、25日、カンテレ『旬感LIVE とれたてっ!』に出演し
「斎藤さんが知事をやりたいというのであれば、出直し知事選ではなく、議会解散をすべきです」
「出直し知事選挙は、邪道中の邪道なんです。出直し知事選をやって民意を受けたとしても、議会の構成が変わっていないわけですから」
として、すべての県議会議員が不信任案に賛成した完全アウェーの議会で再選しても意味がないということ述べた。
知事選では前回推薦した自民党と維新は斎藤氏を応援せず、それぞれ別の候補者を立てるという。共産党も無所属の医師を推薦する予定だ。
「もし各党の候補者が乱立した場合、票が割れて斎藤知事が再選する可能性は十分にある。というのも不信任案が可決したあと、斎藤知事はメディアに多数出演しています。26日の会見も2時間にわたり、各ワイドショーが生中継で取り上げましたからね」(在版テレビ局ディレクター)
自分のこれまでの実績や正当性、“兵庫県が大好きです”といった思いを長時間吐露した斎藤知事。まさにメディアジャックしての出馬会見の様相だった。
「高校生に手紙をもらって勇気づけられたと涙も見せました。人間味を見せて世間から同情を誘っているとしか考えられない。悪名だろうが、世間は“知っている顔”に投票する傾向が強いんです。このメディアジャックの効果は非常に大きいですし、完璧に計算されているはずです。再選の可能性はかなり高いのでは」(在阪テレビ局ディレクター)
しかし選挙で再選すればそれで万事解決というわけにはいかないだろう。今後も議会との対立や百条委員会の継続、第三者委員会の調査など、数々の試練に耐えなければならない。それほど2人の職員の命が失われた責任は重いはずだ。
問題の阪神・オリックスの優勝パレードで金融機関に対し不自然な補助金の増額が行われ、それをキックバックさせたという疑いも解決していない。AERA.dotが25日に配信した記事では金融機関が寄付した額などの詳細を報じた。
「元々1億円だった補助金は、副知事と斎藤知事の意向で数日の間に4億円にまで吊り上げられた。出直し選には“県民のみなさんの税金が”などと言っているわりには、こういったスキームで不正に使われた可能性があります。ただし、金融機関も事件化したくないと考えているはずなので、補助金の増額と寄付は無関係という主張をするでしょう。その証明は難しいかもしれない」(全国紙記者)
9月2日には東京都の男性が、大阪地検特捜部に斎藤知事と片山安孝前副知事の行為が背任にあたるとして、刑事告発状を提出している。さらには告発した元県民局長の公益通報者保護を無視した調査などもあり、それらの責任追及は今後も続くはずだ。
1962年から62年以上にもわたって“総務官僚”が知事の地位にあるという兵庫県。新たな救世主が登場するのか、はたまた斎藤知事が再選となるのか、注目が集まる。