行政を歪める知事の振る舞い、その周囲に寄生する幹部職員の非道を告発する文書を作成した元職員の自死をきっかけに、兵庫県知事・斎藤元彦氏(46)が窮地に立たされている。
【現物入手】革ジャン、蟹、牡蠣、海苔、トースターにロードバイク……県職員の“嘆き”が続出した「アンケート調査」中間報告
辞める気配のない斎藤知事
「一連の問題を追及するために設置された百条委員会は、告発文書内に記載されていた『パワハラ』『贈答品の受け取り』など7つの項目について、県職員らを対象に知っているかどうかをアンケートで尋ねていました。8月5日の〆切までに4500件あまりの回答が寄せられており、取りまとめられたアンケートの結果は『中間報告』として現在議会のHP上で公開されています」(県庁担当記者)
もちろん、あくまでアンケート。報告書にある回答が事実かどうかは精査を要する。だが、職員らが「目撃(経験)等により実際に知っている」「実際に知っている人から聞いた」として明かされる知事の素行は耳を疑うばかりなのだ。
たとえば、知事のパワハラに関する回答にはこんなものが。
〈コンサートや観劇の際、知事が来ていることを他の観客に知らせるためアナウンスを入れるようにとの強い指示があった〉

〈(乗り損ねた)エレベーター前にいた県職員に(中略)「お前はエレベーターのボタンも押せないのか」と大声で怒鳴りつけた〉

〈サイズLのポロシャツを届けたところ、斎藤知事は「Mがいい」と(中略)「新品のMサイズをすぐに持ってこい」との強い指示があった〉

〈運転中の叱責、走行ルートに関する干渉がしばしばあり(中略)スマホのルートと違う等理由で「なんでこんなルート走ってるの!」「こんなんで間に合うのか!!」〉
そのほかにも、肝いり政策をPRするグッズに自分の顔と名前が入っていなかったことに機嫌を損ね、グッズ製作をやり直させたり、職員を叱責する際に机をたたいたり、文具を投げつけたりといった、横暴ぶりを訴える声が続く。
さらに、県内企業のコーヒーメーカーを受け取っていたことに端を発し、これまでさんざん報じられてきた知事の“おねだり体質”への言及がまたすごい。〈知事が贈答品を受け取っていることについて〉とのアンケート項目には職員らの膨大な嘆きが綴られていた。

〈ヘルメットやサングラス、ウェア等は受け取っているはずです(5、6万以上はする)〉

〈視察先で受け取ったお土産等を(中略)分けることもなく、独り占めしている〉

〈毎年バースデーケーキのプレゼントがあり、職場では分けずに持ち帰る〉

〈行事リハーサル時に準備されていた茶菓子を、知事が躊躇なくすべて持ち帰っていた〉

〈出張先で手土産を3人分準備されていたのに、知事が全部持って帰った〉

〈播州織の生産現場を視察した際、ネクタイを試着してそのまま帰った〉
そのほかに革ジャン、蟹、牡蠣、海苔、トースターにロードバイク、家具……贈答品だけで衣食住をまかなうのではないかと思わせるほどに、斎藤知事のすさまじい物欲をうかがわせる回答だ。

斎藤知事はこのアンケートの回答結果について報道陣から問われると、パワハラに関しては「業務上の必要な範囲」とし、贈答品の疑惑については「賞味するものについては、個人で食べさせていただくことはあったが、あくまで県としての受領だ」と、いずれも問題ないと強弁する。
知事は8月30日、百条委員会に招集されている。元職員の死の真相と、パワハラ・おねだり疑惑に決着はつくのか。
(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)