2年前、大阪市内に住んでいた当時22歳の女性がゴルフクラブで複数回殴られ死亡しました。女性は生前、母親と一緒に生活保護を3度にわたり申請をしていましたが、大阪市は申請を受け付けませんでした。女性の母親らは「生活保護が受給できていれば死亡せずにすんだ可能性がある」として、母親らが大阪市に要望書を出しました。 母親の弁護士によりますと、大阪市城東区に住んでいたシングルマザーの女性(当時22)は、夫からDVを受けたうえにうつ病を患って働けなくなったとして市に生活保護を3度申請しました。

▼生活保護の申請は受付られず…女性はゴルフクラブで複数回殴られ死亡 頭に10か所以上の傷 しかし、城東区役所は夫婦関係が破綻していることが確認できないことや、家賃が生活保護の扶助基準額を超えているなどとして申請を全て受け付けなかったということです。 女性はその後、一時的に知人男性の家に身を寄せていましたが、その男に衣服や粘着テープを巻きつけられたうえにゴルフクラブなどで複数回殴られ死亡しました。女性の頭などには10か所以上の傷があり、死因は失血死だったということです。▼3回目の申請時に職員と母親が口論 様子を見た女性「もういい」 女性の死は防ぐことができなかったのでしょうか。 3回目の申請の際、担当職員と母親が押し問答の末に口論に、そばで見ていた女性は「生活保護って皆が一生懸命働いて納めた税金からでるんやんな。そんな大事なお金を自分みたいな人間のくずが使わせてもらえるわけないねん。だからもういい」と言い残し、区役所を後にしたということです。▼区役所「最終的に意思がなかったので、生活保護の申請には至っていない」 一方、弁護士らによりますと、区役所に残された当時の面談の記録には「3回目の申請にあたり、生活保護の申請意思の有無を確認したところ、娘さんは母親から保護の申請を勧められるも、拒否した」という記録が残っていたということです。 母親が市に問い合わせたところ、区役所からは「最終的に意思がなかったので、生活保護の申請には至っていない。生活保護の申請に際して、申請意思がある方にさせないことはない」という回答があったということです。 女性の母親らは、大阪市が生活保護の申請を受け付けて女性の身を守っていれば死亡せずにすんだ可能性がある」として、謝罪と再発防止を求める要望書を市に対して提出しました。 大阪市内で会見を行った母親は生活保護の申請が受け付けられない娘の当時の状況を次のように話しました。 (女性の母親) 「600円しかなく、ガスも電気も止められ、一体どこまで苦しい状況になれば申請を受け付けてもらえるのだろうか。これ以上のどん底って私と娘にとってはないんだけれど、どういう状況が生活保護に受けるのに適切なのかわからないまま、娘の自宅まで帰って、案の定相当娘は落ち込みました」 そのうえで、当時の区役所への対応に悔しさをにじませました。 「亡くなってしまったら、私の気持ちがおかしいのかもしれないが、あの時区役所で生活保護の申請が通っていて、娘の住まいが確保できていれば娘は今も生きていたんじゃないかと思うと、どうしても苦情をいわずにはいられなかったです。娘に対する対応は本当に適正な対応だったのか、そこを明確にしていただきたい」▼大阪市「指針に基づき適切に対応する」大阪市はこの申し入れに対し、「大阪市の定める団体との協議等のもち方に関する指針に基づき、適切に対応していく」としています。