夏休みに入り、東海3県では水の事故が相次いでいます。透き通った川は、より危険が潜んでいると専門家は指摘します。そのワケは――。
23日、三重県菰野町の三滝川で、友人と川遊びをしていたネパール国籍の19歳の留学生が水深約2mの川底で発見され、まもなく死亡しました。 さらに21日には、愛知県西尾市の海岸でも、水遊びをしていた愛知県安城市の78歳の男性がうつぶせで海面に浮いているのが発見され、病院に運ばれましたが死亡しました。 同じ日には、岐阜県関市の板取川でも、トルコ国籍の21歳の男性が溺れ、死亡しました。 夏休みに入り、東海3県で相次ぐ水の事故。 25日も岐阜県美濃市を流れる長良川では、水遊びを楽しむ人たちが――。 名古屋市の少年野球チームのメンバー。保護者と一緒に訪れましたが、気を付けていることは。 「溺れないようにしている。あまり深い所に行かない」(小学2年生) 子どもは、全員ライフジャケットを着用しています。 「ライフジャケットをそれぞれ持ってきて、最悪の事態に備えている。大人やお兄ちゃんお姉ちゃんが見える範囲で遊びなさいと徹底しています」(保護者)
警察によりますと、東海3県で去年7月と8月に川や海の事故で死亡した人の数は、愛知県と三重県が7人、岐阜県は全国で3番目に多い12人でした。 岐阜県警は21日、水難事故を防ごうと、美濃市の長良川でドローンを活用した啓発活動を行いました。 「川遊びをする方へのお願いです。子どもから目を離さないで下さい。お酒を飲んでから泳ぐのは危険です」(ドローンの呼びかけ) 長良川にかかる美濃橋周辺は、毎年、多くの人が川遊びやバーベキューに訪れる人気スポットです。 今回、啓発活動で使われたドローンの音声をよく聞いてみると、流れていたのは、ポルトガル語の注意喚起。 多くの外国人も訪れることから、日本語だけでなく英語とポルトガル語でも流しています。 「ポルトガル語圏の人が比較的多いので使いました。川は一見、平穏な流れに見えても、川底は渦を巻いていることがあると、十分に頭に入れて水遊びをしてほしいと思います」(岐阜県警関警察署 土屋公彦 地域課長)
始まったばかりの夏休み。これから川や海へ遊びに行く人が身を守るためには、どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。 「水辺は全部そうだが、急な深みがある。だから川も浅い所で遊んでいる分には、何も起こらない。やはり突如として深い所にはまって、溺れるというパターンが多いんです」 水の事故に詳しい「水難学会」の斎藤秀俊さんは、透き通ってる川はより注意が必要だと指摘します。 「岐阜県の川などはきれいで透き通っている。こういう川が一番危ない。透き通って底まで見えると、底が浮き上がって浅く見える。これは光の屈折という現象で、一言でいうと錯覚です。錯覚で『あそこ浅いな』って思ってしまう。それがきれいな川の怖さです」 (斎藤さん) 事故を避けるために、斎藤さんが強調するのは、決して1人で行動しないということ。そして――。 「ちょっと深い、足が届かないと思ったらすぐ戻ってください。浮き輪やライフジャケットを着けていても、ひざ下までの水深で遊ぶ。この2つをきちんと守っていたら、1日楽しく遊んで楽しい思い出を持って家に帰ることができます」(斎藤さん)