7月28日の昼下がり、静岡県内では同月の観測史上最高気温を観測する自治体もあった。うだるような暑さのなか、菊川市の閑静な住宅街で突如、凄惨な事件は起こった。
【写真】サバゲーでマシンガンを乱射していた片山容疑者の卒アル写真。「戦い」に異様なこだわりを見せていた文集の内容
「28日午後2時25分ごろ、菊川市の住宅で、この家に住む渋谷昭一さん(87)、育子さん(81)、次女の留美子さん(52)の3人が血を流して倒れているのを静岡県警の捜査員が見つけました。3人はいずれも刃物で襲われたとみられ、複数の切り傷がありました。全員、搬送先の病院で死亡が確認されました。
渋谷さん宅は、亡くなった3人と長女の4人暮らしでした。留美子さんから助けを求める電話を受けた渋谷さんの長女が外出先から菊川署に通報したことが事件発覚のきっかけでした。長女は『自宅で息子が暴れている』とも警察に伝えていました」(事件担当記者)
渋谷さんの長女の話などから、静岡県警は翌29日に長女の息子で元自衛官の職業不詳・片山宏一容疑者(27)を殺人容疑で指名手配し、写真を公開した。容疑が事実であれば、片山容疑者は祖父母と叔母を殺害したということになる。県警は30日夜、北西に350キロ以上離れた鳥取市内で片山容疑者の身柄を確保した。
「容疑者は腹にけがをしており入院していますが、命に別条はありません。けがの様子も見ながら県警は本格的な取り調べを進める方針です」(同)
親族の間で一体何があったのだろうか。NEWSポストセブン取材班は静岡県内で取材した。
菊川市の事件現場となった渋谷さん宅の近隣住民の高齢女性が話す。
「一家とお付き合いしていますよ。昔からだからね。育ちゃん(育子さん)とは色々なものを送り合っていたよ。梅干し漬けたよ、らっきょ漬けたよってね。24日も私がきゅうりを持っていったのね。26日は65歳以上なら参加できるお勉強会で会う予定だったんだけど、育ちゃんの腰が悪くて会えなかったの。26日に行けていれば会えてたのにな……。
昭一さんはマメなひとでね。畑やったり、盆栽をやったり、木を切ったり。うちは旦那が亡くなったものですから、家のちょっとした場所を直してくれたり、遺影を取り付けてくれたりしていました」
幼少期の片山容疑者についても知っていた。
「下の子(留美子さん)は結婚していなくてね。上の子(片山容疑者の母親)は掛川市にお嫁に行ったんだけど、5年前くらいに帰ってきて。その前は息子(片山容疑者)が小さい頃はよく遊びに来てたりもしていました」
かつて、片山容疑者と母親が暮らしていた自宅周辺でも取材した。孫が片山容疑者と同級生だったという高齢女性が話す。
「小学校の時に2~3回くらいかな、うちの家に遊びにきたことがあるんだけど、片山君は悪い子には見えなかったよ。野球やったり、ボール投げやったり、うちの孫と遊んどった。おとなしくはなくて、活発な子だったね。わんぱくな感じでした。家が裕福だったから、わがままに育ったのかもしれません」
容疑者と小中学校で同級生だった男性にも話を聞くことができた。
「小学校の頃、結構遊んでいました。宏一は人見知りでしたが、自分とはとても仲が良かったんです。昔はよく宏一の家でゲームをしたりエアガンで遊んだりしていました。小学4年生や5年生の頃には山に遊びに行って、一緒にエアガンでサバゲーをやりました。宏一はマシンガンみたいなエアガンを使っていましたね。連射できる電動ガンみたいなやつです。中学校はあまり話さなかったから、思い出はあまりないかな。彼はサッカー部で、部活も違ったし……」
幼少期から銃などに興味があり、自衛隊に入ったということなのだろうか。さらに男性は片山容疑者に感じていたある“違和感”についても話す。
「正直、“キレ癖”はあったと思います。親やおじいちゃんおばあちゃんに反抗していました。暴力はなかったと思うのですが、結構口が悪くて『てめえ、このヤロウ』みたいなことを言うんです。家族仲はあまり良くはなかったんじゃないかな」
事件を聞いて驚いたという。
「最後に会話したのは、高校生くらいの頃です。帰り道に偶然会って少し話したくらいですね。自衛官になったことは風の噂で聞いていました。自衛隊に入ってからは難しいところがあったんじゃないですかね。人見知りだし、人間関係とか結構めんどくさそうなタイプのイメージなので……」
自衛隊に入った少年は、昔から親族と衝突していたというが、なぜ3人も殺害するという悲劇が起きてしまったのか。警察の捜査の進展に注目が集まる。
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