風俗店の摘発が相次いでいる。6月17日までに、『天然素人やりすぎ娘』などの店名でデリヘルを運営していたグループの従業員ら23人が警視庁に逮捕された。
逮捕のきっかけは、大久保公園周辺で客待ちを行ったとして摘発された複数の女性から『やりすぎ娘』でデリヘル嬢をし、本番行為を提供していたという供述があったことだという。『やりすぎ娘』では、採用面接時に「うちの店は本番店だから」などと伝えていたという。
「本番前提の店舗ってけっこうありますよ。私が水戸に出稼ぎに行った時は″水戸式″って文化があって、ソープが少ないからかほとんどのデリヘルが本番前提でした。あとDC(デートクラブ)って呼ばれる形態だと、ちょっと給料が高いかわりに本番が前提。デリヘルなのにコンドームを渡してくる店舗もあります」
そう語るデリヘル嬢のハルカ(仮名・24)は、ソープ、違法メンエスなどの風俗店を20歳の頃から転々としている。
「本番禁止のデリヘルだと、裏引き(店を通さずに金額交渉をすること)がしやすいんですよ。『ホントはダメだけど、お店には内緒でゴムあり本番2万円、生で3万円ね』みたいな。
でも、いま風俗業界はどこも厳しいんで、プラス料金なしで本番させるような子も出始めて……。それこそ、『やりすぎ娘』みたいに本番を推奨する店舗も増えてきた。だから最近、デリ嬢の間では梅毒とかめっちゃ流行ってるんです。私はそれが怖いから、性病検査の体制が整っているソープに移籍しちゃいました」
ソープで働く前に少しだけ在籍した違法メンエスでは、「どこまで提供して本指名を引くかは君次第。そもそもウチは違法なんだから賢く稼ぎなよ」といったアドバイスが店舗から流れてきたそうだ。
本番行為に関しても「裏オプ」として店舗から説明されたという。
「抜きありのメンエスではどこの店舗も本番を黙認しているイメージですね。店が指示すると管理売春になっちゃうけど、女の子がやる分には自由だから……みたいな。
でも、もちろん性病検査は自分でやらなきゃいけないし、かかったらかかったで本番させずに手だけでやり過ごせばいいしって思っちゃうから、クラミジアにかかっても平気で出勤してましたよ。たまに、『明らかに梅毒だろ』って笑っちゃうくらい赤い斑点だらけの女の子とかも見かけます」(ハルカ)
風俗業界がこんな状態なので、最近ではセクキャバへ流れる男性客も増えたというが……。
「俺、風俗通いが趣味なんです。でも、この前指名してるメンエス嬢に性病移されちゃって。『もう二度と風俗なんて行くもんか!』って思ってたんですけど、セクキャバでキスせずに、おっぱい揉(も)んで吸うくらいなら大丈夫かな、と思って行っちゃった。
そしたら、乳首吸ってただけでインフルエンザに感染したんですよね。たぶん俺の前に乳首を吸ってた他のおじさんがインフルかかってて(笑)。風俗では性病が蔓延して、セクキャバでは乳首を介した間接キスでインフルが移るなんて最悪ですよ」(マサト・仮名・29)
「これくらいなら大丈夫」とセクキャバに足を運んでも、そこで働いている嬢たちは肌が荒れることを嫌がって胸をアルコール消毒せず、一度裏に下がっておしぼりで拭(ふ)くだけ。
そもそも、見ず知らずの他人との粘膜接触で、感染症のリスクを低減させるなど不可能に近いのである。
『FRIDAY』7月5・12日合併号より
取材・文:佐々木チワワ’00年、東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。卒業後はライターとして活動。本連載をまとめた新刊『ホスト!立ちんぼ!トー横!オーバードーズな人たち』(講談社)が好評発売中!