約1000軒の飲食店が並ぶ北海道旭川市の歓楽街「3・6街」。その中心地に位置する雑居ビルに、一軒のカラオケスナックがある。女子高生を旭川市内の景勝地「神居古潭」にかかる橋から突き落としたとして、今年6月に殺人容疑で逮捕された内田梨瑚被告(21歳)が、事件前、旭川中央警察署の刑事たちと乱痴気騒ぎを繰り広げていた店だ。
今回、このカラオケスナックのオーナーが本誌の独占取材に応じ、内田被告と刑事たちの飲み会の様子を明かした。
「旭川署の刑事たちが初めてうちの店にやってきたのは、今年1月中旬です。新年会という感じで、夜10時頃にまず7?8人が来て、次第に人数が増え、最終的には50人ほどになった。わたされた名刺を見ると、刑事第二課の人が大半で、何人か一課もいました。
そこに内田が来店したのは、深夜0時前だったと思います。後輩の女の子と一緒にたまたま店を訪れた。内田は刑事たちと『初めまして』という感じで挨拶を交わし、自らを『リコ』と名乗っていました」
その際に撮られたのが、下の写真だ。電子タバコを持ち笑みを浮かべる内田被告とともに右端に収まっているのが、当時、刑事第二課組織犯罪対策係に所属していたX警部補。「週刊文春」7月11日号で、内田被告と不倫関係にあったと報じられた刑事である。
「飲み会の際、X警部補は『手伝うわ』と言ってカウンターのなかに入り、内田と楽しそうに話していました。二人はこのときに知り合ったんでしょう」(オーナー)
大人数で使えて飲み放題とあり、旭川署の刑事たちはその後、頻繁にこのスナックで飲み会を開くようになった。半裸になって騒ぐなど、かなりハメを外した飲み方を繰り返していたという。
オーナーが続ける。
「刑事たちが飲んでいるところに、内田がやってくることもありました。4月頃に開かれた飲み会では、8人くらいで刑事がやってきて、内田と後輩の女の子が後から来店。さらにその後、X警部補が来ました。互いに連絡を取り合っていたんだと思います」
事件直前にも旭川署の刑事たちは飲み会を開催。その際、X警部補はオーナーに対し、こんな驚きの「交渉」をしてきたという。
「財布を見せてきて『お金がないからマケてほしい』と言うんです。私が『ダメですよ』と答えると、『今度払う』と。その後、内田の事件が起きて、X警部補をはじめ、刑事たちはぱったりと来なくなりました」
管轄内のスナックで値下げ交渉とは信じがたいが、旭川署はさらに悪質な「工作」も行っていた。内田と一緒に店を訪れていた後輩は、19歳の未成年だった。旭川署はこの19歳を昨年12月に別の事件で事情聴取しており、未成年であることを把握していた。にもかかわらず共に飲酒をし、さらにはその事実を「口止め」していたのだ。
「事件と前後して、X警部補の先輩刑事が店に来ました。カウンターにいた私を『ちょっとこっちへ』と呼び寄せ、『未成年と警察が飲んでいることが問題になっている。僕らを調べる係(監察)がこの店に来るかもしれない。もし来てもとぼけてほしい』と。客商売をやっている身ですし、地元の警察からのお願いだったので、『わかりました』と答えるしかありませんでした」(オーナー)
口止めの事実について本誌は旭川署に取材を申し込んだが、「個別具体的内容については、回答を差し控えます」と答えるのみだった。
一般社団法人「青母連」旭川支部長で、旭川で「SP探偵事務所」の代表も務める岸本和幸氏が言う。
「私の調査では、内田被告は事件前から旭川の不良グループの後輩たちに、売春を強要していたことがわかっています。さらに、違法薬物の売買を行っていたとの情報もある。X警部補をはじめとする旭川署の刑事たちは、そんな人物と『密接交際』をしていたのです。自ら襟を正して膿を出さなければ、警察への信頼は回復しないでしょう」
後編記事『警官が「大麻パーティ」で書類送検、監察官室長の警視が泥酔トラブルも…!「内田梨瑚事件」であぶり出された北海道警の「ヤバすぎる不祥事」』に続く。
「週刊現代」2024年8月3日号より
警官が「大麻パーティ」で書類送検、監察官室長の警視が泥酔トラブルも…!「内田梨瑚事件」であぶり出された北海道警の「ヤバすぎる不祥事」