5月29日深夜、埼玉県川口市でタクシー運転手(72)を銃撃したとして、無職・瀬川好一容疑者(68)が31日、強盗殺人未遂容疑で逮捕された事件。事件発生から瀬川容疑者は逃走を続けていたが、指名手配をしていた県警がJR大宮駅で身柄を確保した。全国紙社会部記者が語る。
【写真】瀬川容疑者が住んでいた家賃9~14万の瀟洒なマンション。部屋に拳銃を保管していた可能性。1階には学習塾が
「瀬川容疑者はJR赤羽駅付近でタクシーに乗車、事件現場となった目的地に到着すると運転手に『金を出せ』と脅して、後部座席から拳銃らしきものを発砲。その後逃走していましたが、県警はJR福島駅から発車した上りの新幹線に乗ったことを防犯カメラの映像から特定し、逮捕に至ったということです。動機については『金を奪おうと思ってはいなかったが、ピストルを撃ったことは間違いない』とし、使用した銃については『捨てた』と供述しています。
瀬川容疑者宅の家宅捜索では、実弾1発が押収されました。事件現場となったタクシーの車内からは空の薬莢(やっきょう)が発見されており、容疑者は自動式の拳銃を自宅に保管していた可能性があるとみられています」
容疑者の自宅は、事件現場から約200メートル離れたJR川口駅付近のマンションだった。この街を知る関係者が語る。
「瀬川容疑者が住むマンションの部屋は、駅から近い家賃9~14万円ほどの賃貸物件でした。最近も特に変わった様子はなく、お金に困っているようではなかったんですが……」
駅付近には、中国・ベトナム・フィリピンなど、様々な国籍の飲食店やパブなどが集まる。瀬川容疑者は10年以上前から、この地域の飲食店によく出入りしていたという。韓国系の飲食店店員が語る。
「韓国系のお店が好きで、韓国人の経営するパブとか焼肉店によく通っていました。うちに初めて来たときは、韓国人のご友人と一緒に来ていたんです。お酒が大好きでいつもマッコリをたくさん飲むから、周りからは『マッコリオッパ(お兄さん)』と呼ばれていた。来るときは“豪遊”という感じでよく飲むけど、お金はしっかり払ってたから、お金に困ってたわけじゃないと思うんだけどね。
この店には15年ほど前から来てたんだけど、5~6年前に『ママ、あの人にサービスしたんでしょ? 聞いたよ』って因縁つけられて揉めてから、ぱったりこなくなってしまったんです。もともとお酒を飲むと口調が荒くなって、いつも他のお客さんとケンカするので困っていた。殴り合いまではいかないんだけどね、凶暴な性格なんですよ。悪い人じゃないんだけど、いつも自分が一番だと思ってるから」
瀬川容疑者はJR福島駅から新幹線に乗る様子を警察に特定されていた。この店員によると、容疑者はこの福島に縁があったという。
「瀬川さんはたびたび福島に帰ってたけど、本人も『ふるさとは福島なんだ』と話していたよ。うちの旦那が亡くなったときには葬式にも四十九日にも来てくれたし、義理堅い人ではあるんです。自分が捕まるとわかって、故郷の人に最後に会いに行ってたんじゃないかな……」
街を震撼させた凶行。警察は「捨てた」とされる拳銃の行方と入手ルートなどを含め、捜査を続けている。