50年以上子供たちに愛されてきた着せ替え人形の「リカちゃん」にここ数年、変化が起きている。ネット交流サービス(SNS)をのぞくと、スエット姿で寝転びながらお菓子を食べたり、髪がボサボサだったり――可愛くておしゃれなだけじゃない、少しずぼらなリカちゃんの姿が。好きな服を着せ、なりたい自分や現実の自分を投影して楽しむ“リカ活”にハマる大人が急増している。
【写真でたっぷり】「うるせぇぇぇ」トイレの個室でキレるリカちゃん
リカ活界で特に注目を集めているのが、アラサー女子の日常を表現したSNSアカウント「現実を生きるリカちゃん」だ。ユーチューブのチャンネル登録者数は76万人を超え、インスタグラムのフォロワー数は約117万人に上る。
「リカちゃん遊びが大好きだった20代後半の女がつらい現実から目を背けるために、自分をリカちゃんに投影した」。ユーチューブのプロフィル欄にはそんな紹介文が書かれている。
初投稿はコロナ禍の2020年5月。「在宅勤務中のリカちゃん」という設定で動画を制作した。上司からの連絡におびえながらも一日中パジャマで過ごし、仕事に集中できずついつい昼寝をしてしまう。そんなリカちゃんの姿に「まさに今の私」「私だけじゃなかった」と共感と安堵(あんど)のコメントが相次いだ。
テーマは「ストレス社会に生きるリカちゃん」。疲れ果ててソファで寝落ちしたり、ため込んだ洗濯物の山を見て絶句したり、片膝を立てて物思いにふけったり………。時にはデートのためにおしゃれや化粧に気合を入れたリカちゃんも登場する。
可愛さの一方で、ずぼらさや不器用さを醸し出す「人間らしい」リカちゃんに心奪われる大人が多いようだ。
そんなリカ活ブームに合わせ、市場も活気づいている。【太田敦子】