誰もが知る人気イタリアンレストランチェーン、サイゼリヤ。海外にも多くの店舗を展開するサイゼリヤだが、日本の店舗との違いはあるのだろうか?サイゼリヤ元社長で、著書『サイゼリヤ元社長が教える 年間客数2億人の経営術』を上梓した堀埜一成氏が、日本と中国の注文のしかたを比較しつつ、「食のローカライズ」の重要性について語る。
日本では、日本人の口に合わせたイタリアンが売れるように、中国のサイゼリヤでは、中国人の好みに合わせた麻辣パスタをメニューに加えていて、やはりこれも人気があります。
その土地の好みに合わせた「食のローカライズ」が大事なのは、日本だけではないということです。
日本と中国を比べると、注文のしかたにも顕著な違いが表れます。
ジャンルごとの注文数を比較するために、日本の注文を標準偏差50としたときの中国の偏差値を見ると、「前菜」「スープ」「パスタ」「ピザ」の注文が軒並み偏差値75を超えています。つまり、そのくらい突出してこれらの注文が多いということです。
一方、日本の注文で強烈に強いのは、「米料理・グラタン」と「パン・ライス」、それに「ワイン・アルコール」です。つまり、米と酒、ご飯と酔っ払い天国なのです。
ここからわかるのは、中国では、「前菜」「スープ」「パスタ」「ピザ」をコース料理のように頼んでいるということです。
大皿で注文してシェアする中華料理と同じで、要するに、多くの料理をちょっとずつ食べるわけです。このあたりは食の先進国ならではの洗練を感じます。
その対極にあるのがアメリカです。レストランで観察していると一品をひたすら食べ続けています。さらに、残ったものを持ち帰り、翌日再び楽しんで食べるそうです。
ちなみにアメリカ最大のイタリアンレストランチェーン「オリーブガーデン」でも、出てくるものはしっかりアメリカナイズされています。従業員のイタリア研修などもあるようですが、味は真似ないようにと指示が出ていると聞いています。
アメリカ発のマクドナルドも、各国の食文化に寄せるのがとてもうまい。
日本ではてりやきマックバーガーが定番商品の仲間入りをしていますし、中国やタイの朝マックではお粥が、香港の朝マックではヌードル入りのスープがメニューに加わっていて、地元で愛されているようです。
日本で暮らす外国人がこぞって「サイゼリヤ」を絶賛するワケ