鹿児島市の病院で2019年、看護師が誤って人工呼吸器を1時間近く外したままにし、女性患者が死亡しました。遺族は、病院に管理責任があったとして、およそ4600万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。
(死亡した女性の長男 山内廣太郎さん)「病院側が全く責任を追及されていないのが、何より納得できない」
鹿児島地裁に訴えを起こしたのは、鹿児島市の山内ミヨ子さん(当時67歳)の夫ら遺族3人です。
山内さんは、体を動かすことが困難になる神経性の難病=ALSでした。訴状によりますと、山内さんは鹿児島市の田上記念病院に入院していた2019年5月、看護師がたんを吸引した後に人工呼吸器の接続部が56分間外れたままとなり、低酸素脳症による多臓器不全で死亡したとしています。また、当時ナースコールの不具合もあり、助けを求められなかったとしています。
遺族は2020年7月、院長や当時の看護師ら3人を業務上過失致死の疑いで警察に刑事告訴し、このうち、看護師について、鹿児島簡易裁判所は先月、罰金50万円の略式命令を出しました。遺族の代理人弁護士によりますと、鹿児島地検は今年3月院長と看護部長については不起訴処分としました。
遺族は「看護師1人のミスではなく、指導を怠った病院の管理責任も問われる問題」として、17日までに病院を運営する医療法人春風会に対し、およそ4600万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。
(死亡した女性の長男 山内廣太郎さん)「ALSの診断は下っても内蔵は丈夫、体は徐々に動かなくなっていったけど、本当に唐突に命が奪われた」
今回の提訴を受け医療法人春風会は「事実確認できておらず、詳細が分からないためコメントできない」としています。
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