〈《多摩川スーツケース死体遺棄》被害者は“自称・暴力団の相談役”のアウトロー系配信者…容疑者一家に起きていた“ある異変”「ゴーッというとんでもない音が…」【元交際相手の親族ら5人逮捕】〉から続く
昨年12月30日、川崎市川崎区の多摩川で重り付きのスーツケースの中、手足を縛られ、変わり果てた姿で発見された原唯之さん(46)。死体遺棄の容疑で神奈川県警に逮捕されたのは、原さんの元交際相手の西舞容疑者(32)とその父、西昌浩容疑者(53)、母の西美保容疑者(51)、兄の西昌吾容疑者(34)。そして、舞容疑者の交際相手の岩城周平容疑者(39)の5名である。
【卒アル入手】父のDV、運動会でヤンキー座り、ベランダからレンガの破片…小学校時代の西舞容疑者(32)
「一家と岩城容疑者は共謀し、昨年12月中旬、殺害した原さんの遺体を大田区内の量販店で購入したスーツケースに入れ、発見場所から約2キロ離れた同区本羽田の河川敷から流したとみられています」(社会部記者)
亡くなった原唯之さん(本人のXより)
原さんはハンドルネーム「唯我」で、2011年からニコニコ動画等で動画を配信。自らを「住吉会の相談役」と豪語するアウトロー系配信者だった。
舞容疑者は警察の調べに対し、次のように述べているという。
「原さんの動画配信で、私や家族が誹謗中傷され、トラブルになっていた」
一家総出で起こした今回の凶行だが、4人はどんな生活を送っていたのか。
大田区で暮らす西家をとりまく環境は、舞容疑者が幼少の頃から荒みきっていた。彼女の小中学校時代の同級生の保護者が語る。

「あの家は複雑な家庭環境だったと思います。父親はほとんど家におらず、たまに帰ってきても家庭内暴力。印象に残っているのは運動会の時です。舞ちゃんはレジャーシートを敷いてお昼を食べるのではなく、校庭にヤンキー座りをして食べていた。両親は授業参観にも来ていませんでした」
父親によるDVは舞容疑者を蝕んでいくが、そんな彼女が慕っていたのが、2歳上の兄・昌吾容疑者だった。
「舞は癇癪持ちで喧嘩っ早い。小学校時代、体育の授業で準備体操中、偶然手が当たっちゃって『なんだよ!』と向かってきたので、取っ組み合いの喧嘩になったんです。その後、お兄ちゃんが教室に来て『妹に何するんだよ』って。
目つきもキツいし、怖かった。2人の家に遊びに行くと、きょうだいで自宅のベランダから悪戯でレンガの破片を落とすんです。向かいの八百屋さんに『危ない』と叱られても『こっちに来られないでしょ』と笑っていました」(小中学校時代の同級生)

舞容疑者が小学校卒業を控えたタイミングで、一家は同じ大田区内の都営アパートに転居。その頃にはすでに昌浩容疑者と美保容疑者の離婚が成立していた。昌浩容疑者はその後、年上の女性と再婚し、逮捕直前まで船橋市内の家賃7万円ほどの借家で生活していたという。

「旦那さんは寡黙な優しい人で、奥さんの病気を機に土木関係のサラリーマンを辞めてアルバイトをしていたようです。ある時不動産の広告パネルを持ち、駅前で座っている姿を見かけたこともあります。奥さんが約2年前に亡くなってからは、彼女の形見ともいえる雑種のワンちゃんを散歩させたり、黒いミニクーパーを丁寧に洗車しているのをよく見かけました」(船橋市の近隣住民)
一方の舞容疑者は昨年2月頃、原さんがSNSで交際相手を募集すると、X上で「ミク」を名乗り、原さんに接触。翌月から交際がスタートした。
ところが、9月上旬に原さんが名古屋への旅行を配信仲間と企画した際、同行した舞容疑者と原さんはあっけなく決裂。原さんから電話で罵詈雑言を受けた舞容疑者は愛知県警西警察署に脅迫の被害届を提出し、原さんは9月20日朝に逮捕。20万円の罰金刑が下されたのだった。

原さんと名古屋旅行を企画した配信仲間のみやびくんが明かす。
「唯我さんはラブホ代や交際費など約80万円をミクちゃんに支払わせていました。彼女らはそれにリボ払いの利息分を上乗せして約300万円を唯我さんに要求していた。当初、美保さんは『娘の笑顔を取り戻したい。お金は返ってこなくて良いから警察に行こう』という話だったのに、逮捕という社会的制裁を受けた後も、唯我さんに返済を求め続けたのです」

そんな折、舞容疑者が頼ったのは、高槻市の岩城容疑者だった。ロックバンド「GLAY」の熱狂的ファンだった美保容疑者とファン同士として知り合った岩城容疑者は、一家と家族ぐるみで付き合いがあったのだ。舞容疑者は、原さんとの関係が悪化して以降、岩城容疑者の自宅マンションからほど近い家賃約4万円の賃貸物件に引っ越している。
近隣住民は、舞容疑者と、新彼氏となった岩城容疑者の交際について頻繁に目撃していた。
「その女性は、去年の夏頃にクリアケースと段ボール1個を持って引っ越してきて、昨年12月頃まで見かけました。赤いスポーツカーに乗っている男性と一緒で、夜中12時を回ってからよく出かけていた。女性はいつも帽子にマスク姿で生活感がなく、男性はいつもスポーツカーをマンションの駐車場に無断で停めていました」
警察は原さんの死亡時期を12月中旬とし、それ以降に原さんが更新したSNS投稿は、容疑者らが原さんが生存しているかのように見せかけた偽装工作の可能性があるとしている。

前出のみやびくんが明かす。
「昨年9月から唯我さんとは連絡を取っていなかったのですが、今年の元旦に〈あけましておめでとう〉というLINEのスタンプを送ったところ、既読が付いたんです。しかも、その日の午後5時16分にLINEを退出。その時、すでに彼は亡くなっていた。だから、何者かが唯我さんのアカウントを動かしていたわけです」

美保容疑者は、逮捕直前までGLAYに関する投稿をXでリポストするなど、変わらぬ日常を装っていた。
偽装工作はついに見破られ、一家の謀略が明るみに出たのであった。
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(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)