普段何気なく使っている、日本語の「言葉」。立ち止まって、その語源に目を向けてみると、さまざまな新しい発見があります。
辞典編集者である神永曉さんが監修した『日本のことばずかん』シリーズ、その最新巻である『日本のことばずかん あじ』から江戸前寿司にまつわる言葉を紹介します。
老若男女、みんなが大好きなお寿司。旬の魚や、魚の部位、寿司飯や食べ方に至るまで、うんちくが山ほど挙がるジャンルですが、お寿司には「おいしい」だけでなく「おもしろい」言葉もたくさん見つかります。
キュウリの巻き寿司を「カッパ」と呼んだり、ショウガのつけものを「ガリ」と言ったりするのは、カッパがキュウリを好むから、とか、かじるとガリガリ音がするから、など由来を想像しやすいですね。
寿司ネタやつけあわせ以外にも、お寿司屋さんで使われる言葉には独特なものがあります。たとえば寿司につける醤油のことを「むらさき」ということも。これは、昔の醤油が赤褐色をしていて、その色を紫と呼んだことからそう呼ばれたという説があります。
また、意外と知られていないのが「おあいそ」という言葉について。食事の最後に勘定を頼むときに、この言葉を使ってしまうお客さんもいるかもしれません。
しかしこれは本来は、お店側が使う言葉です。お客から代金をもらうことに対して、店側が恐縮して「愛想がなくてすみません」ということの略なのだそうです。奥ゆかしい日本人の心が、こんな言葉遣いにも表れているのですね。
言葉の語源を辿っていくことで、遠い昔に生きていた人々の心や、その当時の情景にまで思いを馳せることができます。忙しい毎日のなかで少し立ち止まって、言葉について考える時間を持つこともまた、いいものです。
参考書籍:『日本国語大辞典』『大辞泉』
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