鉄道玩具「プラレール」やミニカー「トミカ」の世界観をテーマにした公園が、東京都葛飾区に誕生することになった。
子どもたちに楽しく交通ルールを学んでもらう場とするだけでなく、区内外のプラレールファン、トミカファンを呼び込む狙いがある。それぞれの玩具を製造する地元企業のタカラトミーと区が連携し、2029年度のオープンを目指す。
(増田知基)
計画の場所は、同区新宿(にいじゅく)の区立新宿交通公園。JR金町駅の南にあり、1万1530平方メートルの敷地を持つ。
現在も、園内をミニSLやミニ新幹線が走っており、毎週末には多くの家族連れが訪れるほか、公道を再現した標識や信号、踏切もあり、自転車やゴーカートに乗りながら交通ルールを学ぶことができるのも特徴だ。
ただ、公園が開園したのは1969年で設備の老朽化が問題となっていた。再整備の議論が進む中、区はタカラトミーの乗り物玩具が「公園のコンセプトと親和性が高い」と着目し、協力を依頼したという。
構想では、ミニSLなどにはプラレール、展示物として配置しているバスなどにはトミカのデザインを反映させる方向で、現在、区と同社が協議を進めている。
このほかにも、キックスケーターや、スケートボードに似た「ブレイブボード」、ペダルがないキックバイクなど、子どもたちが公園などで楽しむ乗り物が多様化していることを受け、安全な乗り方を学べる場としても利用してもらうことも想定している。
同公園を子どもと頻繁に利用する区内の会社員(33)は「室内でプラレールやトミカで遊ぶのとは異なる体験ができたら良いと思う。体を動かしながら、子どもたちがリアルな学びを得られる場にしてほしい」と期待を寄せる。
区はすでに新年度の一般会計当初予算案に、基本設計の費用として1300万円を計上。工事は2027年度からとなる見通しだ。
また、区はプラレールとトミカの知名度にも期待を寄せている。
区内には漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」で知られる同区亀有や、映画「男はつらいよ」シリーズの舞台となった同区柴又など、全国的に知られるエリアがあり、区は玩具の知名度を生かし、新宿地区周辺にも区内外から多くの観光客らを呼び込みたい考えだ。
ただ、交通の便の悪さが課題となっており、公園から近いJR金町駅から公園までは、徒歩で約20分かかる。
区では現在、区内を南北に走るJR新金貨物線の旅客化事業を進めており、「新宿駅」の設置も検討されている。区は公園整備とともに、鉄道事業も本格化させることにしている。
青木克徳区長は「公園とおもちゃの世界が融合することで親子らがより楽しめる。新たな観光資源となるよう事業を着実に進めたい」と話している。