6日、神奈川県伊勢原市にあるトンネル状の農業用水路で補修作業をしていた、20代~70代の男性作業員6人が倒れ、搬送される事故が発生。
搬送された6人のうち、3人が意識不明の状態です。
現場は、小田急・小田原線の愛甲石田駅から約1km離れた住宅街。神奈川県によると、用水路のトンネルでは、2023年12月から老朽化に伴う補修工事が行われていました。
現場では今月から、トンネルの内側にある鉄の板にさびを防止するための塗装作業を行っていたといいます。
「めざまし8」は、倒れた作業員が次々に搬送されていく様子を目撃した、近隣住民を取材。事故直後の緊迫した状況がわかってきました。
近隣住民:すごくいっぱい救急車も全部で合計して十何台ぐらい来てたんで、これ、ただごとじゃないなって。作業をしていて事故っていうのは、ここに住んでまだ5、6年ぐらいですけど、ちょっと初めてでしたね。
結構早い感覚で、もう数分おき、5分おきぐらいには次々と運ばれて出てくるような。ちょうどあのフェンスの左側から、斜面を登って担架で出てくるっていうような感じでしたね。1人目運ばれた方は、もう完全にもう担架から腕が垂れていて、全く意識がない。手だけ見えたんですけど。完全に土気色をしているような感じで。
私が見た2人目の方は、意識はあったようで、上半身を起こした状態で運ばれて出てこられたんですけど。
作業の現場で、一体何が起きていたのでしょうか?
事故が起きた現場周辺を取材すると、用水路のすぐ脇には「第二種有機溶剤等」と書かれた看板があり、その下に一斗缶が複数詰まれていました。
さび防止の塗装作業には、シンナーや塗料が使われていたということで、警察は作業員が有機溶剤を吸った可能性があるとみて調べています。
元麻布消防署長で、数々の救急搬送を見てきた坂口隆夫氏は…。
元麻布消防署長 坂口隆夫氏:長時間シンナーを吸っているとまひをしたり、命に関わるというような症状が出てくるんですね。通常の場合にはめまいだとか、頭痛だとか、あるいはふらつきというような症状が現れるんですね。シンナー中毒になる、そういう危険性があるということです。(シンナーを使用する際は)風を送ったり、防毒用のマスクをしたりですね。そういう対策をしながら、工事をやるというのが一般的です。
作業現場などで、長い時間、シンナーを吸った場合、命にかかわるケースもあるため、通常「換気」や「防毒マスク」など、十分な対策を行ったうえで、作業が行われるといいます。
作業員がいた用水路は全長約800m。県によると塗装作業は午前10時から行われており、現場には入り口と出口に大型の換気装置が設置されていたということですが、作業時の装備についてははっきり分かっていません。(「めざまし8」3月7日放送より)