自動車用不凍液「エチレングリコール」を飲ませて4歳の次女と自身の姉を殺害したとして、会社役員細谷健一容疑者(43)と、その妻志保容疑者(37)が逮捕された事件で、健一容疑者が姉の死因について、周囲に「心臓まひだった」と説明していたことが7日、関係者への取材で分かった。
警視庁浅草署捜査本部は、姉が病死したように装うため、健一容疑者が虚偽の説明をしたとみて詳しく調べる。
関係者などによると、健一容疑者の姉美奈子さん=当時(41)=は2018年4月29日、自宅で死亡した。美奈子さんに持病などはなかったが、行政解剖で不審な点は見当たらず、敗血症による病死と診断された。同容疑者は当時、知人や周囲に「姉は心臓まひで死んだ」と話していた。
捜査本部は23年3月に死亡した健一容疑者らの次女美輝ちゃん=同(4)=について、不凍液を摂取させられたと判断。保存されていた美奈子さんの遺体の一部も改めて調べたところ、エチレングリコールが体内に入ると結晶化する「シュウ酸カルシウム」が腎臓から検出された。
美奈子さんは当時、父親が経営する旅館運営会社「ホソヤ産業」で経理事務を手伝っており、健一容疑者は同社の従業員だった。同容疑者は会社の金を使い込むなどしていたといい、美奈子さんが「健ちゃん(同容疑者)にはお金は任せられない」と話したこともあったという。
両容疑者は美輝ちゃんに不凍液などを与え殺害したとして、今年2月に殺人容疑で逮捕された。美奈子さんにも約6年前に不凍液を摂取させたとして、同容疑で今月6日に再逮捕された。