工場には六価クロム由来と思われる黄色のネコの足跡が残っていた(写真・野村鍍金 提供)
広島県福山市のメッキ工場で、有害物質「六価クロム」の槽にネコが落ちた後に逃げ出し、騒動となっている。
3月11日朝、「野村鍍金福山工場」に出勤してきた従業員が、六価クロム槽から続く、黄色い足跡を発見。防犯カメラを調べたところ、10日夜に工場から外に走っていくネコの姿が映っていたという。
六価クロムはメッキ加工に使われる物質だが、アスベストと並ぶ発がん性物質としても知られている。吸い込むことにより、手足や顔に発疹や炎症が生じたり、鼻や喉にも炎症が生じやすいとされている。
報告を受けた福山市では、異常がみられるネコを発見したら、絶対に触らず、市か警察に連絡してほしいと呼びかけている。
SNSでは
《猫がかわいそうでつらい。弱った猫を知らずに優しい猫好きの人が触れて被害にあったりしたらとてもつらい》
《六価クロム槽に落ちた猫が可哀想すぎて、なんかやるせないなぁ、、まだ見つかってないんだよね》
など心配する声とともに、
《なぜ猫が入るスペースがあった?管理がなってないだろ》
《そもそも、六価クロム槽に猫が近づける時点で管理体制が杜撰だよ》
と、工場の管理責任を問う意見も多数見られる。
本誌は、「野村鍍金福山工場」の工場長に話をきくことができた。
――ネコが落ちた状況は?
「六価クロムの槽はシートでふたをしてあります。そのシートの上にネコが乗ったところ、槽のなかに落ちたものと考えています。六価クロムは約50度ほどの温度なので、ネコが暖を取るためにその上に乗ってしまったのかもしれません」
――以前にも同様のことは?
「これまでにはありません」
――今後の対策は?
「工場にネコが入り込んだ箇所は、足跡があったので特定できており、その隙間を埋める対策は取っています。それ以外にも入り込む可能性がある場所はないかと、点検を進めている段階です。
昨日からおしかりの電話などを十数件ほどいただいております。こちらとしては、真摯に受けとめて、今後、このようなことがないよう、しっかりと対策をしていきます」
福山市の環境保全課に確認したところ、12日午後1時の段階で、目撃情報などは寄せられていないという。愛猫家の胸は締めつけられるばかりだ。