大阪府富田林市で2022年、自宅に置き去りにされた小野優陽(ゆうは)ちゃん(当時2歳)が熱中症で死亡した事件で、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた同居の祖母、小野真由美被告(47)の裁判員裁判の判決が16日、大阪地裁堺支部であった。藤原美弥子裁判長は「2歳11カ月で一人取り残され、空腹と脱水状態で死に至った苦痛や絶望は察するに余りある」と述べ、求刑通り懲役9年を言い渡した。
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優陽ちゃんは真由美被告の三男の長女。三男の家庭内暴力により、生後6カ月の20年1月から真由美被告に引き取られていた。
判決によると、真由美被告は内縁関係にあった桃田(ももだ)貴徳被告(52)=1審で懲役6年、控訴=と共謀。22年6月27~29日、自宅で優陽ちゃんの手足を粘着テープで縛ったうえ、四方を板張りにしてふたを付けたベビーサークルに放置し、食事や水の補給をせずに熱中症で死亡させた。両被告はこの間、2人の長男(7)を連れて外泊し、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)に遊びに行っていた。自宅にいたのは真由美被告の四男(17)だけだった。
公判では、主に量刑が争点だった。弁護側は、汚物をまき散らすなどする優陽ちゃんの養育に真由美被告が悩んでおり、サークルに入れたのには理由があったと主張。富田林市など公的機関も責任を分担すべきだとして量刑面で考慮するよう訴えた。だが判決は、こうした優陽ちゃんの行動を真由美被告が市に相談していなかったとして退けた。弁護側は事件当時の緊縛も否定していたが、判決は優陽ちゃん発見時の目撃証言などから粘着テープで縛られていたと認定した。
そのうえで藤原裁判長は、優陽ちゃんが十分な食事を与えられず、保育園も退園させられていたなどとして、「日常的な虐待の末の犯行」と非難。真由美被告が中心になって養育する立場にあったのに、事件を主導したとして「(血縁関係のない)桃田被告よりも果たした役割や関与の程度は大きい」と量刑の理由を述べた。【高木香奈、安元久美子】