昨年5月に新型コロナによる緊急事態宣言の終了が発表され、人々の生活はおおむねコロナ禍前の状態となっている。JTBが実施した「年末年始(12月23日~1月3日)に、1泊以上の旅行に出かける人」の旅行動向見通しによると、海外旅行者数は約58万人。対前年260.1%となり、昨年に比べ大幅な回復がみられた。
また、海外からの訪日外客数は、日本政府観光局(JNTO)の発表では、2023年12月は273万4000人と、コロナ禍以降で最多を更新。国境を越えた人々の移動がふたたび活発化し、、今後もさらにインバウンド需要は拡大していく見込みである。
日本へやって来た観光客たちから熱い視線を浴びているのは、やはり「食」。観光庁「訪日外国人消費動向調査」(2019年年次報告)によると、訪日外国人観光客が「訪日前に期待していたこと」の第1位(69.7%)は「日本食を食べること」とあり、食への高い関心がうかがえる。
『Momoka Japan 外国人が日本食を食べて感動が止まらない』12月14日発売

そんななか、道行く外国人観光客に声をかけ、とっておきの日本食を堪能してもらう――そんなYouTube動画「Momoka Japan」が人気を集めている。
「日本に来て1日目!初めて食べる日本食に感動が止まらない」「街行く外国人に初めてたこ焼きを食べてもらったら」「外国人がデカ盛り天丼に大感激!」
興味をそそるタイトルと、海外のみなさんが日本食を美味しそうに食べる姿から、見ると思わず笑顔になってしまう動画の数々はなんと550本以上。総再生回数は2億回を超え、チャンネル登録者数は現在83.3万人(2024年2月2日時点)と、注目度が急上昇している。
制作しているのは都内に住むYouTuberのMomokaさん。動画を作成するにあたって、Momokaさんは新宿や渋谷など、海外観光客の多いエリアで出会った方々に英語で直談判。OKがもらえたら、一緒におすすめのお店へ向かう。見ず知らずの、それも外国人に話しかけるのはなんとも緊張しそうだが…。
「恥ずかしがらずに、がんがん声をかけちゃいますね! この英語おかしいかな?なんてことは考えず、まずは話してみます。私がバリバリの関西人なことも関係あるかもしれませんが…(笑)」(Momokaさん)
Momokaさんの動画で登場するのは、必ずしも高級な料理ではなく、トンカツやお刺身、肉じゃが、駄菓子など日本人にとって親しみ深いものばかり。普段当たり前のように食べているものが、海外の方にとっては実に新鮮で心から楽しんでいる様子に、あらためて驚かされるとともに、日本の良さを再確認することができる。
そんなMomokaさんが1月26日にタレントのIMALUさんがパーソナリティを務めるFMヨコハマのラジオ番組『でぃぐらじ』に出演した。
2人は実は、5年ほど前に共通の友人の誕生日会で1度会ったことがある、という。当時、Momokaさんは大学生で、YouTubeをはじめたばかりだった。今回、はじめてのラジオ出演となるMomokaさん。予期せぬ形でのIMALUさんとの再会に、不思議な感慨を抱いていた。
「YouTubeをはじめたきっかけ」についてIMALUさんが訊ねると、「もともと好きだった食と、当時勉強していた英語、そのときに興味があったYouTubeがかけ合わさって動画が誕生した」とMomokaさん。大学在学中に趣味の一環として、動画投稿をはじめた。
IMALU「そこから5年で本を出版するまでになるなんて、すごいですね」
Momoka「自分でも信じられないです」
収録中の様子
動画では流暢な英語を披露しているが、どのように身に付けたものなのだろう。
IMALU「海外に住んでいた経験とかはあるんですか?」
Momoka「カナダに1年間だけ住んでいた経験があるんですけど、英語がある程度話せるようになってから行きました」
それまでは日本で独学で英語を勉強していた、と聞いて驚くIMALUさん。
Momoka「ひたすら単語を暗記しました。あとはバーで海外の方と話したり、ランゲージコミュニケーションアプリを使ったり、学んだことをアウトプットして身に付けていきました」
IMALU「私もカナダに留学していたことがあるんですよ。そこで、机に向かって勉強しているだけじゃなくて、ネイティブの方と会話をしないとダメなんだ、と気が付いたのですが、それに日本にいるあいだから気がついていたとは早いなぁ、と思います。そういうところもすごいですね」
勉強法としてはやはり「ネイティブスピーカーと実際にコミュニケーションする」のが1番だ、とMomokaさん。IMALUさんも大いに納得をしていた。
では、そうしたコミュニケーションの様子も見ることができるYouTube動画はどのように撮影されているのだろうか。
IMALU「撮影もすべてご自身でやられているんですよね。大変ですね」
Momoka「そうですね。でも、いろいろな国の方とお話しできるので、すごく楽しいです。撮影はまず街で動画に出てくれる人を探すところから始まって、人が見つかったら『何を食べたいか』を聞いて、一緒に食べに行く、という流れです」
IMALU「いろいろな美味しいご飯屋さんの情報をすごくたくさん知っているんですね」
Momoka「もう何年も撮影をしているので同じご飯屋さんに繰り返し行くこともあるんですけど、確かに美味しいご飯屋さんはかなり知っていると思います」
IMALU「もともと、食が好きだった、とおっしゃっていましたもんね。じゃあ、街で見つけた外国の方に『ラーメンが食べたい』と言われたとしたら、近くの美味しいラーメン屋さんを探して、撮影に行く、みたいな感じなんですか?」
Momoka「そうです。 お店の方が『動画を見ました!』と後日連絡をくださることもあって、嬉しいですね」
海外から来たいろいろな方と日本食を食べてきたMomokaさんだが、いままで特にリアクションが良かった食べ物は何なのだろうか。
Momoka「和牛はやっぱり最強です。『こんなにとろけるお肉は食べたことが無い』とみなさん目を見張ります」
『momoka japan』第7話より
IMALU「そうなんですね、逆にちょっと首をかしげられちゃう食べ物はありますか?」
Momoka「反応が思ったより良くなくて落ち込んだのは松茸です」
IMALU「え~、あんなに美味しいのに。あの独特の香りと食感で、食べると大人になった気分になりますよね」
Momoka「そうですよね。すごくありがたく感じる味のように思うんですけど、海外の方はあまりピンと来ない、というのはありましたね」
好きな食べ物として多く挙げられるのは、やはりお寿司やラーメンなのだという。Momokaさんはそうした海外で定番となっている日本食以外にも、美味しい食べ物はまだまだあることを伝えていきたいと思っている。
IMALU「いままで撮影を通して出会った人のなかで、忘れられない人、印象的な人はいますか?」
Momoka「もちろんみなさん印象的なんですけど、特に印象的なのは漫画の第2話にも登場してくれているオーストラリア人のベンさんとフィービーさんのカップルです。彼らは漫画化されてから再来日してくれて、漫画を直接プレゼントすることができたんです」
『Momoka Japan』第2話より
IMALU「わぁ、それは嬉しいですね。どんな反応でしたか?」
Momoka「めっちゃ喜んでくれはったし、漫画をすごく褒めていただいて、涙が出るほど嬉しかったです」

活動を続けるなかで、Momokaさんのなかにある思いが芽生えたという。
Momoka「海外からの観光客の方たちがみんな『ご飯も美味しくて、人も優しくて、日本はすごい』と言ってくれはるから、撮影をするたびに日本のことが好きになっていきます。いま日本に住めているということがすごくありがたいことなんだな、と思います」
IMALU「確かに日本の治安の良さには驚かれる方が多いですよね。例えば、レストランで荷物を席に置いたままトイレに行っちゃう、とか」
Momoka「自分の国ではありえない、と言う方も多いですね」
IMALU「MomokaさんのYouTubeを見ていると、私たちにとっては当たり前の食べ物でも海外の方はこういう受け取り方をするんだ、とかこういう部分に感動をしてくれるんだ、という驚きがあります。日本食の見方がすごく変わります。
私も最近、イギリス人の知り合いが日本に遊びに来てくれて、ご飯屋さんに一緒に行ったんですけど、その時に『お豆腐がちょっと苦手』と言っていて。私たちは生まれた時から当たり前のようにお豆腐を食べていて、いつ初めて食べたかなんて、もう覚えていないじゃないですか」
Momoka「そうですよね」
IMALU「その友達ははじめて食べる味と食感に、不思議そうに首を傾げていて、お豆腐をそうやって味わうのか、とこちらまで新鮮な気持ちになりました」
Momoka「すごく良く分かります」
日本食の良さを1人でも多くの人に伝えるために、これからも楽しく活動していきたい、とMomokaさん。新しいお店もどんどん開拓していきたい、と変わらず前向きな姿勢を見せた。
収録後の1枚。左よりMomokaさん、IMALUさん
『Momoka Japan 外国人が日本食を食べて感動が止まらない』12月14日発売