静岡県の浜名湖で通信制高校に通う中国籍の斉藤宇川さん(うかわ・17)が遺体で見つかった事件。2月20日、静岡県警は無職の堀内音緒(ねお・21)と、フィリピン国籍で無職の男(18)、ブラジル国籍の1人を含む17歳の少年3人を傷害や監禁容疑などで逮捕した。
【画像】「女性をめぐって殴り合いの喧嘩」逮捕された堀内容疑者

社会部記者が解説する。
「9日午後3時40分ごろ、浜名湖で釣りをしていた男性が『釣り竿に遺体が引っかかった』と110番通報。司法解剖の結果、遺体には殴られたような複数の皮下出血があることなどから、県警は暴行を受けて水死させられたと判断した。遺体発見時はほぼ衣服を身に着けていない状態でした」
斉藤さんは4日の午後7時ごろ、家族に「遊びに行く」と伝えて自宅を出た後、浜松市内の知人宅を訪ねた。
「翌5日未明には知人宅のアパートを訪れ、容疑者らを含む複数の友人と過ごしています。そこで、停めてあったバイクを倒したことなどからトラブルに発展したとみられています。堀内容疑者と別の無職の容疑者は、斉藤さんを殴打するなどしてけがを負わせた疑いがあり、他3人の容疑者はその後、堀内容疑者らと共謀し、知人宅近くで斉藤さんを乗用車に監禁したのです」(同前)
知人宅には、若い外国人男女がたむろし、近隣住民と頻繁にトラブルを起こしていることで知られていた。だが騒音トラブルは、堀内容疑者の自宅周辺でも発生していたという。
堀内容疑者の自宅 文藝春秋
「1週間ぐらい前、夜11時ごろに若い子らがアパートの敷地にある自動販売機の横に、レクサスを停めているところに遭遇しました。暴走族の車みたいに改造されていて、音楽がガンガン鳴ってたり、エンジンをふかしていたりでうるさかった。停めている場所は駐車場ではなかったので、堀内容疑者を迎えに来ていたのだと思います。夜遅い時間だったこともあり、何度か警察に通報されていました」(近隣住民)

周囲との問題が絶えない不良集団に属していた堀内容疑者。どんな人物だったのか。「週刊文春」の記者が堀内容疑者の実家を訪れると、母親のAさんが初めて取材に応じた。
「息子の恋人を通じて、事件当日の話を聞きました。バイクのトラブルが原因と言われているみたいですが、息子の友人のフィリピン人の男と亡くなった方は同じ女性が好きで、その女性を巡って殴り合いの喧嘩が始まったと聞きました。息子は亡くなった方と知り合いでもないし、殺人を犯したとは考えられない。ただ一緒にいただけです」
幼少期は掛川市で過ごした堀内容疑者。数年前に、家族とともに浜松市へ引っ越し、大工などの作業員として働いていたという。真面目に働いていたが、徐々に交友関係も変わっていったようだ。
Aさんが続ける。
「以前は、友達もいないし恋人もいない、仕事だけ頑張る真面目な子でした。それが2年前くらいから外国人、主にフィリピン人の友達が増えました。友人を実家に招くことも多くなった。車が好きな子で、元々持っていた車を売りに出して、ローンでレクサスを購入しました。それからは毎日、車で友人と夜遊びするようになりました。未成年の時に、友達ら数人で車の中で飲酒や喫煙をして、警察の世話になったこともありましたが、警察沙汰になったのはその一件だけです」

母親のAさんのショックは大きい。憔悴しきった表情でこう語った。
「逮捕と聞いて、涙が止まりません。主人は警察署に行っていますが、私はまだ本当に……、信じられない気持ちでいっぱいです」
捜査本部は、斉藤さんが死亡した経緯を慎重に調べている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)