〈浜名湖17歳遺体 堀内音緒(21)容疑者の母親が独占告白「息子の恋人からバイクトラブルではないと聞いた」「女性を巡って殴り合いの喧嘩」「フィリピン人の友達が増えてから…」〉から続く
静岡県の浜名湖で通信制高校に通う中国籍の斉藤宇川さん(うかわ・17)が遺体で見つかった事件。2月20日、静岡県警は無職の堀内音緒(ねお・21)、フィリピン国籍で無職の男(18)、ブラジル国籍の1人を含む3人の17歳少年を傷害や監禁容疑などで逮捕した。
【画像】右手の中指を立てて、黒マスク姿で眉をしかめる堀内容疑者

斉藤さんは4日の午後7時ごろ、家族に「遊びに行く」と自宅を出た後、浜松市内の知人宅を訪ねた。だが、7日になっても家には帰らず、家族が行方不明者届を提出。9日、浜名湖で遺体となって発見された。
「5日未明には浜松市内にある知人宅のアパートを訪れ、容疑者らを含む複数の友人と過ごしています。そこで、停めてあったバイクを倒したことなどからトラブルに発展したとみられています。堀内容疑者と別の無職の容疑者は、斉藤さんを殴打するなどしてけがを負わせた疑いがあり、他3人の容疑者はその後、堀内容疑者らと共謀し、知人宅近くで斉藤さんを乗用車に監禁したとみられている」(社会部記者)
“現場”となった知人アパート
この知人宅のアパートは、フィリピンやブラジルをはじめ、多国籍な不良少年が集まる場として知られ、近隣住民とのトラブルが絶えなかった。斉藤さんもまた、日本人の父と中国の母を持つハーフだった。
斉藤さんの友人は、「彼は地元・袋井と浜松市でそれぞれ別のコミュニティに属していた」と話す。
「袋井市では、私のような日本人の友人らと遊ぶことが多く、浜松市では外国人の友人らとつるんでいた。宇川はノリも良くて、礼儀もしっかりしていましたし、みんな宇川のことが好きでした。一方、外国人のグループの評判は悪い。私の友人が浜松駅近くのベンチに座っていたら、今回逮捕されたフィリピン人の少年に『邪魔だ!』と怒鳴られ、因縁をつけられたこともある。かなり気性の荒い子もおり、いい評判を聞いたことがない」
多国籍グループに入るきっかけはSNSだった。斉藤さんの友人の父親が続ける。
「息子は、逮捕されたブラジル国籍の少年と宇川くんの共通の友人でした。宇川くんとは学校は違いましたが、SNSを通じて友達になった。今の若い子たちはそうやってSNS経由で仲間を増やしている。息子から聞いた話では、ブラジル国籍の子のバイクを倒したことだけではなく、ブラジル人と恋人だったフィリピン人と日本人のハーフ女性を巡るトラブルもあったようです」

浜松市内の繁華街には頻繁に遊びに来ていたという斉藤さん。仲間たちと会う際の移動手段を増やすためだろうか、原付免許を取得していたという。前出の友人は肩を落とした。
「宇川は原付免許を持っていましたが、バイクは持っていなかった。私が所持していた2台の原付バイクのうちのひとつを、前々から宇川が運転したいと言っていたので、それを貸してドライブしたこともある。焚火をした時、宇川はバイクの旧車の話を熱心にしていたので、バイクには結構興味があったのだと思います。1カ月くらい前に彼のインスタで自動二輪教習車のストーリーを投稿していたので、今度はその免許を取ろうとしていたんじゃないかな。それなのに、まさかこんなことになるなんて……」

小学生時代はサッカークラブに所属し、中学時代はバレーボール部で活躍するなどスポーツマンだった斉藤さん。中学卒業後は磐田市内の私立高校に進学したが、ほどなくして退学。近所のガソリンスタンドや飲食店でアルバイトをしながら通信制高校に通っていた。高校退学によりバレーボールから遠ざかった斉藤さんは、キックボクシングのジムに通い始めるようになる。
「昨年11月に、宇川を誘って5人くらいで集まって海岸で焚火をしました。その時、宇川が『この前、喧嘩でボコボコにした』と自慢げに話していたのを覚えています。キックボクシングを始めてからは体格も良くなり、性格も変わった印象です。喧嘩もかなり強かったと思いますが……」(前出・友人)

逮捕された5人のうち数人は容疑について否認や一部否認をしているという。前出の社会部記者が話す。
「堀内容疑者らが、斉藤さんを暴行する様子を動画撮影していたそうです。捜査本部は、暴行を実行した男らは、斉藤さんが死亡した経緯を知っているとみて、その動画をもとに裏付け捜査を進めています」
混沌としたコミュニティの中で起きた凄惨な事件。未来ある少年が足を踏み入れた先には、暗い闇が広がっていた。
(「週刊文春」編集部/週刊文春)