全国の公立中学・高校の制服について、学校間で販売価格に最大6万円の差が生じていることが公正取引委員会の調査でわかった。
1着当たりの最高額は7万円を超えていた。公取委は、取引先のメーカーや販売店の固定化が価格の高止まりを招いている可能性があるとして、入札などを導入すべきだとしている。
公取委は2022年12月、制服の取引実態を把握するため、公立中学1200校(全体の13%)、高校750校(同21%)の調査を行い、約8割から回答を得た。
価格差は中学女子のセーラー服が最も大きく、最高値の約7万2000円に対し、最安値は約1万2000円。男子で価格差が最も大きかったのは高校のブレザーで、最高が約6万3000円、最安は約1万8000円だった。詰め襟などを含む他の男女8種類の制服にも約4万7000~3万2000円の差があった。
公取委は「凝ったデザインの制服は製造工程が増え、価格が高まる傾向がある」とした上で、「同じ業者だけを取引先に選び続ける学校は価格競争が起きず、値段が下がりにくい」と分析する。
公取委は17年、全国の公立中学の制服について、▽メーカーや販売店は入札や見積もり合わせで選ぶ▽新規参入業者にも制服の仕様を明らかにする▽既存の価格以下での販売を取引先に要望する――ことなどを提言。18年と20年に文部科学省を通じ、全国の中学・高校に伝えている。
今回の調査では、提言を一つでも実施した場合、何も対策を講じなかった学校と比べ、3年後の価格が約7%低くなったこともわかった。ただ、提言を全く実施していない学校は中学で64%、高校で31%に上っていた。
学校の制服を巡っては、愛知県豊田市の公立高校について価格を引き上げるカルテルを結んだとして、公取委が20年に販売業者4社に独占禁止法違反を認定したケースがある。市内の6高校は入札を行わずに個別に指定業者と契約し、販売価格を業者に決めさせていた。カルテル後の価格は全国平均より1割以上も高くなっていた。
制服の価格は近年、原材料費の高騰や物価高の影響で上昇を続けている。高校のブレザーは、男女とも17年度からの5年間で2000円以上も値上がりした。
公取委は「保護者の負担が年々増加している。学校側が価格の決定過程に携わり、取引先に競争を促すことで、少しでも安価に供給できる仕組みを築いてほしい」と指摘している。