田中みな実(37)やダレノガレ明美(33)、Matt(29)などの“美”を売りにするタレントが広告塔を務めてきた美容クリニックで死亡事故が起きていた。以前からいわくつきだったが、ついに最悪の事態を招いてしまったのだ。美容医療の闇に迫る――。
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【写真を見る】芸能人御用達! 「HAAB」の広告塔を務めたタレントたち
昨年4月、全国で5カ所の美容クリニックを展開する「HAAB×DREAM BEAUTY CLINIC」(以下、HAAB)の大阪梅田院で頬や顎の脂肪吸引手術を受けた男性(当時48)が帰宅後、窒息死する事故が起きていた。
「大阪府警はこの男性執刀医(37)を今月15日、業務上過失致死容疑で書類送検しました。亡くなった男性は手術を受けた日の夜から翌日にかけて、右目のあたりや首まわりが変色するほど腫れてしまい、執刀医にSNSでその様子の写真を送り、“呼吸が苦しい”とも訴えていました。しかし、執刀医は“内出血は必ず引く”と返信。救急搬送などの適切な措置を受けさせる指示を怠り、窒息死に至らせてしまったとみられています」(社会部記者)
HAABは2020年、ダレノガレのプロデュースという触れ込みで東京原宿に開業。その後、田中が女性誌でたびたび、HAABに通っており同ブランドの化粧品を愛用していると謳ってきた。現在はMattが広告に出演中だ。
美意識の高いタレントが広告塔となる一方で、さまざまな問題が取り沙汰されてもきた。本誌(「週刊新潮」)20年9月3日号では、痩身注射のステロイド成分の危険性を指摘。23年6月29日号では、HAABブランドの化粧品を製造するグループ企業と、タレントの板野友美(32)との金銭トラブルを報じた。
今回の事故について美容医療後遺症の専門家、日本医科大学名誉教授で「スクエアクリニック」の百束(ひゃくそく)比古院長によれば、
「脂肪吸引手術による内出血で喉頭周囲が腫れ、気管が圧迫された結果、窒息死に至った可能性が考えられます。私だったら顔の脂肪吸引なんて安易には執刀できません。首と顎のまわりには軟部組織が厚く、重要な血管や神経などが集中しているからです」
他の問題点としては、
「手術を受けた日に入院させるか近隣の施設に宿泊させるなど、容体の変化に対応できる措置を講じておくべきでした。リスク管理がずさんだったと思います」(同)
近年、目につく美容クリニックだが、HAABにかぎらず深刻な事故が絶えないという。美容医療に詳しい「大阪みなと中央病院」の細川亙院長はこう語る。
「美容医療における死亡事故は表に出ない例が多いのですが、実際はそこそこの頻度で起きています。たとえば脂肪吸引手術による死亡事故にしても、今回の大阪での一件と近い時期、東京と兵庫でも立て続けに起きていました」
なぜかといえば、
「自由診療の美容医療では、安全性を蔑ろにしたカネ儲け主義に傾きがちだからです。保険診療は臨床データを重ねた結果、リスクとその対処方法が確立されていますが、美容医療はそうではない。どのようなリスクがあるのかすら不明なまま、医師の恣意的な判断による治療で次々に事故が繰り返されています」(同)
「週刊新潮」2024年2月29日号 掲載