今が旬の寒ブリが、かつてない大漁で例年の半分程度の値段になっています。漁に同行すると、ベテラン漁師も驚く光景が広がっていました。
脂がしたたる「ブリのカマ焼き」に、脂ののった切り身を昆布だしにさっとくぐらせていただく「ブリしゃぶ」。そんな旬を迎えた“寒ブリ”に今、異変が起きています。
日本海に面する福井県美浜町の日向漁港。目につくのは、港や漁船など至る所に掲げられた大漁旗です。
日向漁港の特産は、ブランドの寒ブリです。
日本海の荒波にもまれ、身が引き締まった最高級の寒ブリが今、異例の大豊漁になっています。
30日時点で、1978年の組合発足以降、最多となる5万本を水揚げ。昨シーズンに比べて、7倍以上にも上っています。
記録的な大漁となっている寒ブリの定置網漁に、同行させてもらいました。
18日の海上の気温は、およそ3℃。極寒の日本海、火をおこし、暖をとりながらの出航です。
定置網漁は、海の中に網を仕掛けて魚を捕まえる漁法です。数日間経過した後、複数の船で一気に網を引き揚げます。
出航から30分ほどで漁場に到着。仕掛けていた網を引き揚げ始めると、ブリが多すぎて、網が上がりません。
静かでなぎの状態だった海が、激しく波打ち始めました。
網を引き揚げると、海面がブリ一色に…。海の中をのぞくと、ブリの大群がいました。ベテラン漁師も見とれて、手が止まってしまっています。
予期せぬトラブルも発生。ブリの重さで網が破れたのか、急きょ、修理することになりました。
その後も、ベテランの漁師たちが手早くブリをとり続けますが、2時間ほど経っても、全く減る気配がありません。
夜が明けると、ブリをとるための網が限界までふくらんでいる姿が確認できます。1匹あたりの重さは、およそ10キロから15キロと、質・量ともに最高級。
出航から3時間。船の倉庫がいっぱいになり、漁は終了となりました。
この日、港にあがった寒ブリは、なんと1万3000本。総額1億円以上にも上るとみられ、1978年の組合発足以降、最多の水揚げとなりました。
一体、なぜこれほどまで、ブリがとれるのでしょうか?
日本近海に生息するブリの全体量が多くなっているなか、北上し、冬に福井県沖を南下するブリが、今シーズンは、温度が低い水域を避けて沿岸寄りを通っているためだとみられています。
気になるのは、その味です。地元の割烹料亭では…。
脂がよくのった寒ブリ。料理長も太鼓判を押します。
本格的なシーズンに入り、東京や大阪などの市場にも出荷されています。その価格は…?都内の鮮魚店に聞きました。
昨シーズンは100グラムあたり1000円前後だったものが、今シーズンは600円程度と、半値ほども安くなっていました。
(「グッド!モーニング」2024年1月31日放送分より)