〈「ビンタ、シャワーで熱湯をかける、深夜3時までグラウンドで…」千葉学芸高校野球部《下級生イジメ事件》加害生徒らに多数の“余罪”が浮上 被害生徒は心療内科でうつ病を治療中〉から続く
昨年12月、2年生部員8人による1年生部員へのイジメが発覚し、日本学生野球協会から3カ月の対外試合禁止処分を下された、千葉県東金市にある千葉学芸高校の野球部。イジメ被害を受けた生徒側は一連の事件について、千葉県警東金警察署に被害届を提出している。
【画像】「みんなで喧嘩売ろうぜ」「退学しろ」イジメがあった寮
そんな千葉学芸高校野球部で、数年前にもイジメが行われ、被害を訴える生徒が退学に追い込まれていたことが「週刊文春」の取材で分かった。被害生徒本人と母親が告発した。
千葉学芸高校野球部
千葉学芸高校野球部は、OBにはプロ野球選手もいる千葉県の“新鋭”だ。今回、処分が下されるきっかけとなったイジメ行為は、手足を掴み、下着まで脱がし、両足を持って吊し上げたことだが、同部内でのイジメは以前から常態化していた。
「僕も千葉学芸高校の野球部で陰湿なイジメに遭いました」
こう告白するのは2020年に入部したX君だ。中学で野球に打ち込んでいたX君は「高校野球がしたい」という思いを抱き、強豪である同校野球部の門を叩いた。自宅と高校の距離が遠いこともあり、野球部の寮に入ることに。だが……。
「事の発端は、Yという寮の友達が周囲からハブられるようになり、イジメの標的になったことでした。寮は一軒家です。あんな狭い空間でイジメが行われるのは嫌だな、と思い、イジメを主導していたZという同級生に『(イジメは)やめようよ』と話しかけたのです」
すると、庇ったことがきっかけとなり、イジメの矛先は次第にY君からX君に向けられるようになっていく。
「2020年9月のことでした。僕は寮の一室で横になっていたのですが、Zら数人の1年生部員が物干し竿を投げつけてきたのです。その時、Zは周囲に『明日、みんなでXに喧嘩売ろうぜ』と話していました」(同前)
結局、X君は度重なる部員からのイジメに悩み、2020年11月に野球部を退部した。しかし、Z君からのイジメは終わらなかった。X君の母親が言う。
「XとZ君はクラスが一緒だったので、退寮したあともZ君から『退学しろ』『死ね』といった言葉を投げかけられたそうです。クラスでもハブられていたので、休み時間はいつも突っ伏して寝ていたとXから聞いています」

2020年の冬休みのこと。X君は家族と焼き肉店を訪れていた。束の間の休暇で解放感に浸っていたX君は、家族が飲んでいたレモンサワーが写り込んだ自身の写真をインスタグラムのストーリーに投稿した。
すると、この投稿が学校側から問題視されたという。X君の母親が言う。
「冬休み明け、学校に呼び出されて、Xがアップしたストーリーのスクリーンショットを見せられました。ですが、Xはレモンサワーを飲んでいませんし、家族は飲ませてもいません。そのことを学校側にははっきりと伝えましたが、聞き入れてもらえませんでした」
「週刊文春」はこの時の音声を確認。教頭はこのように話していた。
「飲んでいるか飲んでいないかは問題ではなく、酔っぱらっているような投稿をSNSに載せたことは問題」「1月29日までに退学願を出さなければ退学処分になる」
この件で追い詰められたX君は千葉学芸高校を退学。野球を続けることと、別の高校への転学を諦めた。退学直後は心療内科を受診し、精神的に不安定な時期もあったというが、現在は社会人として働いているという。
千葉学芸高校に事実関係の確認を求めた。
–Z君がX君をいじめていたのは事実か。
「いじめの事実はありません。いじめ被害の申し出について、複数回にわたり慎重に調査した結果、いじめの事実はないと判断しました」

–2020年9月、Z君たち1年生がX君に物干し竿を投げつけたのは事実か。
「調査委員会で複数回調査しましたが、Zくんと1年生の部員数人がXくんに物干し竿を投げつけた事実はありません。折れていた物干し竿があったので、Xくんが折ったものだと思い、足元の危険回避のためXくんの体の左側に置いたことが事実です」
だが、X君が遭った“イジメ行為”はこれだけではなかった。
「部員だけではありません。監督からも暴力を受けました」
千葉学芸高校の野球部で一体何が起きているのか。現在配信中の「週刊文春電子版」では、X君と母親が告発する数年前のイジメ事件、そして監督による暴力などを詳しく報じている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春)