長野県宮田村で2020年に暴力団関係者の男性が拳銃で撃たれて重傷を負った事件で、長野、愛知両県警の合同捜査本部と宮城県警は1日、全国に指名手配されていた住所、職業不詳、指定暴力団「絆會(きずなかい)」幹部、金沢成樹こと金成行容疑者(55)を殺人未遂容疑で逮捕した。
発表によると、金容疑者は同年9月28日午後4時45分頃、同村の飲食店駐車場に駐車中の乗用車内で男性(51)に向けて拳銃を発砲して左脇下に命中させ、重傷を負わせた疑い。認否は明らかにしていない。
長野県警は同年10月に金容疑者を殺人未遂容疑で指名手配。警察庁も翌年、「重要指名手配」に指定し、情報提供を呼びかけていた。合同捜査本部も発生直後から設置し、のべ3万9000人の捜査員を動員してきた。金容疑者の逃走を手伝ったとして、これまでに4人が逮捕され、いずれも不起訴となった。
同県警などによると、今年に入り、駒ヶ根署に設置されたフリーダイヤルに「似た人物を見かけた」との情報が寄せられ、仙台市内のアパートに1人でいた金容疑者を見つけた。抵抗せず、本人であることを認めたという。拳銃は見つかっていない。
捜査関係者によると、金容疑者はアパートに2、3か月前から暮らしていたとみられる。また、金容疑者と被害に遭った男性は事件当時、ともに絆會幹部で、移籍を巡るトラブルが起きた可能性があるという。
逮捕を受け、発生現場周辺の住民からは安堵(あんど)の声が上がった。
現場となった飲食店の男性店主(66)は「よく3年も逃げられたと思う。やっと終わるという気持ちだ」と話す。近所の60歳代の女性は「事件当時は、犯人が逃走したことが怖くて、買い物に行くのも控えた。いつ逮捕されるのだろうと思っていたので安心しました」とほっとした様子だった。
◇ 金容疑者が潜伏していたのは仙台市若林区沖野の住宅街にあるアパート2階の一室。1日午前3時45分頃、防弾チョッキを着用した複数の捜査員が玄関から突入し、室内に1人でいた金容疑者を確保した。突入の際には強力な光を放つ閃光(せんこう)弾が数発使用されたという。同じアパートの住人はホテルに退避するよう前日に言われていたという。
複数の近隣住民らによると、周囲とのトラブルはなかったという。4日前に部屋から出てきた金容疑者を見たという60歳代の女性会社員は「フードを目深にかぶり、足早に階段を下りていた。姿を見かけたのはその時ぐらいだった」と振り返った。