「東京ラーメン・オブ・ザ・イヤー」として「東京で一番旨いラーメンを決めようじゃないか」をテーマに20年以上発行し続ける歴史を誇り、ラーメン業界の最高権威と呼ばれるMOOK本「TRYラーメン大賞」。
年に1度一都三県の店を、ラーメンに造詣の深い審査員がランキング形式で発表している。今回はそのTRY審査員歴15年以上の古参の三名が、同エリアでこの1年以内にオープンした新店と、既存店である名店の中から推しの一杯を紹介する短期連載企画。第三回は全国のラーメンを食べ歩く元祖“ラーメンクィーン”レイラ氏による名店のこの一杯!
『ひつじそば 人と羊(ひととよう) 』東京都・杉並区 JR中央線荻窪駅
「特製ひつじそば」2500円。べースのスープ、肩ロースのチャーシュー、テリーヌ、これらはすべて羊で構成。ほか、炒めた葉ものにセミドライトマト、玉ねぎ、クレソンがのる。麺量130g
都内でも珍しい「ひつじそば」、店主の村山新さんがトルコ料理のキョフテ(ラム肉や牛肉のハンバーグのようなもの)を食べ、羊肉と複合的なスパイスの混じった風味・旨みを液化したいと考案。試行錯誤のうえに誕生した「特製ひつじそば」は、スープ、チャーシュー、テリーヌのすべてに羊を使用している。
食べ進めると、各具材からさまざまなスパイスやハーブがオリジナルのコンソメスープに染み出し、旨みが引き出される。この味の変化を集中して最後まで楽しんでほしいと「おひとりさまのみ」の入店を掲げている。目の前の一杯と向き合い“丼内調味”の妙を楽しんでほしい。
TRY審査員・レイラ氏コメントジャンルを超えたエスノミックスな創作麺。手間暇とコストをかけて羊料理の魅力を最大限に引き出しています。エレクトロミュージック中心のBGMも独特の世界観を醸成していて、おひとりさま限定ならではの没入体験を味わえます。

ラム肉のロースを使ったチャーシューは、クミンやオレガノで調味。仕上げに七輪でローストしてから盛り付けられる。端ではテリーヌも置かれ、脂がかたまらないよう人肌程度に温めている。

澄み渡るスープにたゆたうように盛られているのは、三河屋製麺の低加水細ストレート麺。パツッと歯切れよく、スープとの相性がいい。

ラムとマトンをブレンドした羊肉のテリーヌは、クミン&山椒などのスパイス、オレガノのハーブが入っていて爽やか。オクラのねばっとした食感がいいアクセント。

炒め物に使用する葉ものは季節で変わる。この日は小松菜のクミン炒め。羊を使った限定ラーメンも常に用意されているので、気になる方は事前にX(旧Twitter)をチェックを。

照明を落として凛とした雰囲気のお店は、入った瞬間から羊の香りが漂う。店の入り口に羊の置物が出ていれば営業中の証。
住所:東京都杉並区天沼3-30-42営業時間:18:00~21:00 定休日:日・月 席:カウンター5席交通:JR中央線ほか荻窪駅北口より徒歩4分駐車場:なしhttps://twitter.com/hito_to_you
TRY審査員プロフィールレイラ ベリーダンスのインストラクターとして活躍する傍ら、全国のラーメンを食べ歩く元祖“ラーメンクイーン ”。強靭な胃袋が自慢で、2~3杯の連食を得意とする。また、プロ顔負けの料理の腕を持つ。
撮影・沼沢善将 文・エビス_セイキ