誤って接続されたり警察官の問いかけに応答がなかったりする110番が福井県内で急増している。
何らかの衝撃でスマートフォンの緊急通報機能が作動し、知らないうちに110番につながっていたためだ。緊急事案の妨げになる可能性があり、県警は「スマホの設定をいま一度、確認してほしい」と呼びかける。(北條七彩)
「あおり運転を受けた」「シカとぶつかって事故を起こした」。福井南署が福井市内のショッピングセンターで1月上旬に開いたイベント。買い物客らが110番を試み、警察官に現場の状況を説明した。実際にこれらの内容で通報があれば、適正な利用とみなされ、「有効受理件数」に反映される。
県警によると、昨年に受理した110番は4万9954件。このうち、カバンやポケットに入るなどしたスマホから誤って接続された「誤接続」や、警察官からの問いかけや折り返し電話に応答がない「無応答」は2割の9626件に上り、前年(7764件)の24%増、2021年(4182件)の2・3倍に達した。
これらは、いたずらの110番も含め「非有効受理件数」としてカウントされる。
誤接続や無応答の原因は、主に米グーグルの基本ソフト「アンドロイド」を搭載したスマホだ。一部の機種では画面をロックした状態でも、電源ボタンを5回連続で素早く押すと自動的に110番できる「緊急通報機能」がある。そのため、カバンなどの中でも、何らかの衝撃で電源ボタンが押され、通報してしまうおそれがある。
他にも、持ち主が電源ボタンの近くにある音量ボタンと間違って押すケースもあったという。
県警は、誤接続であってもそのまま放置しない。折り返し電話をして事件や事故に巻き込まれていないことを確認。折り返しに無応答の場合には原則、出動することになっている。
緊急通報機能はスマホの設定で停止することができる。県警は「誤った110番は急を要する事案の妨げになる。必要ない人は設定の変更を検討してほしい」としている。