2月26日に開かれた衆議院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治改革を巡り、立憲民主党の野田佳彦元首相(66)が岸田文雄首相(66)の姿勢に厳しく迫った。その野田氏の迫真の質疑が絶賛されている。
冒頭、野田氏は総理に“政治と金の問題”を中心に質問すると宣言し、「総理と私は同い年、しかも’93年の同期当選でございます」と切り出した。当時、リクルート事件を受けて若手議員たちが政治改革について熱く議論したことを引き合いに、「政治改革を進めるには、自身の経験も踏まえて深い反省のもとに改革を進めていくというのが基本だ」と前置きをした。
また、リクルート事件も大事件だったが、今回80人以上の議員が裏金を受け取っていたことは「立法府の存在意義が問われている」と指摘。ルールを作るのが国会であり「法を作るものは法を犯すべからず」と断じ、“デモクラシーの危機”だと訴えた。
その上で、「総理が本当に経験を踏まえて反省しているか、一つ一つチェックしていきたいと思います」とし、’89年の自民党の政治改革大綱には党役員や閣僚が在任中は派閥を離脱すると明記されていることをあげて、岸田首相が総理就任後も派閥の会長を続けた“理由”を聞いた。
しかし、岸田首相は「私の派閥離脱についても、派閥が人事やお金と十分切り離されなかったことの表れであり、私自身その点について反省しなければいけない」とコメント。野田氏は「ちゃんと答えてないですね。なんで離脱しなかったかを聞いてるんです」「ちゃんと答えていないということは、反省していないということだ」と批判した。
野田氏は続けて、政務三役を対象に’01年に閣議決定された”大臣規範”では「国民の疑惑を招きかねない大規模パーティーは自粛」と書かれているのに「総理は’22年だけで7回もパーティーを開き、売り上げが1億5510万円、利益は1億3609万円。内閣総理大臣自らが大綱を破り大臣規範を守らなかった。なぜですか?」と問いただした。
これに対し岸田首相は指摘の会合は「勉強会」だといい、「“大臣規範”の“国民の疑惑を招きかねない”ということには当たらないと判断した」と説明。
野田氏は、国のトップがなぜ7回もパーティーを開いたのか説明に納得がいかないとし、「私はね、金欠ですよ、いつも。だけど総理大臣だったからといって、パーティーをやろうとは思いませんでしたね。異常ですよ。ここまでお金を集めることに心を砕き、エネルギーを割くのか。内閣総理大臣とはそんなに心の余裕があるのか。不思議でしょうがない。これは異常なことだと思います」と痛烈に非難した。
また、’22年6月に広島で開かれた総理就任の祝賀会についても「主催が任意団体だから収支報告書は記載はしてないということでしたけども、これ明らかに脱法パーティーじゃありませんか。受付も経理も岸田事務所がやっていた。任意団体の代表は講演会長だった。どう見たってこれ脱法パーティーじゃないですか!」と指摘。
岸田首相は、祝賀会については岸田事務所ではなく「任意団体」が行ったと強調し、「余剰金の取り扱いについても決まっていなかったので、実質的にも政治資金パーティーではないと認識している」とコメント。
しかしこれに対し野田氏は「仮に政治資金パーティー禁止をしましょうと言ったって、任意団体がやりましたと、任意団体から寄付をもらえば、これ、事実上恩恵を受ける話じゃないですか。抜け穴になるからやめた方がいいと言ってるんです、私は。抜け穴作りの先頭を切るんですか? 政治改革の先頭に立つ人がなぜ抜け穴作りの先頭に立つんですか」と厳しく追及した。
これらの野田氏の質疑には、“素晴らしい”とネット上で賛同する声が続出。
《岸田総理 一言も返せず!!? こう言う時の野田さんの正論は、素晴らしい》《よく言ってくれたと思う。国民の多くがおかしいと思っていたこと》《国民の気持ちを代弁したかのような質疑でしたね!観ていて気持ち良かった!》《グゥの音もでないとはこのこと》《岸田さんと野田さん 交換トレードして欲しい》
質疑応答はこの後も続き、「政治改革大綱や大臣規範を守らない、政治資金規正法も守ろうとせず、その精神も理解していない」とし、「あなたが政治改革の障害になっている」などと岸田首相の政治姿勢を厳しく問うたが、首相は最後まで明確に答えることはなかった。
野田氏は最後に、「政権交代こそが、最大の政治改革だと確信をしました」といって質問を終えた。