「携帯電話番号を手書きしたので、何かあったら連絡してください」
昨年2月中旬、鹿児島県内のクリーニング店勤務の20代女性A子さんが、店を訪れた鹿児島県警霧島署の50代男性警察官N氏からこう言われて、強引に名刺を手渡された。
さらに個人情報を聞かれるなどのつきまとい行為を受けたという。
しかもN氏はA子さんの帰宅時を見計らって、A子さんの車付近に自身の車を停車。
恐怖を感じたA子さんは、県外の実家に帰らざるを得ないこともあったという。
Photo by iStock
事案発生当初からA子さんの相談を受けていた元警察官のB氏が怒りをあらわにする。
「彼女から相談を受けた私は霧島署にN氏の行為を伝えました。署から連絡を受けたA子さんは被害事実を相談しましたが、相談後に署から連絡は一切なく、N氏に対する調査や事案の確認をする気配はありませんでした」
霧島署に不信感を持ったA子さんは鹿児島県警察本部に相談。それ以降も「電話も含め、複数回霧島署などに苦情・相談をした」(B氏)という。
「ところが警察からはその後も納得のできる説明はありませんでした。しびれを切らしたA子さんは自身が相談した内容が記録されているはずの『苦情・相談等事案処理票』の開示請求を行ったのです」(同前)
その結果、事案発生直後にB氏が霧島署にA子さんの被害状況を申し出たことや、同日にA子さんが被害申告をしたことなど、少なくとも2件の「苦情・相談等事案処理票」が存在しないことが明らかになった。
一体なぜ「もみ消し」たのか。鹿児島県警本部は「警察が発表していない個別の案件については回答を差し控えます」(総務課)とコメントした。
Photo by iStock
B氏が呆れる。
「N氏はストーカー規制法違反容疑で書類送検されましたが、いまだに処分もされず別の署で勤務していると聞きます。警察への不信感と恐怖からか、A子さんは不眠症など、心身の不調に悩まされ続けているのです」
県警からA子さんに対して明確な経緯説明と謝罪はいまだ行われていない。
(取材・文/大島佑介)
「週刊現代」2024年2月3・10日合併号より
【もっと読む】『抑えきれずに盗撮・痴漢……警察官は「性欲」が強いのか』