半世紀前の連続企業爆破事件で指名手配中の桐島聡容疑者(70)を名乗る男は、神奈川県藤沢市の工務店で、数十年にわたり住み込みで働いていた。
今月、路上で体調を崩していた男を自宅まで運んだという近所の男性(61)は28日、「怪しいイメージはなかった」と驚いた様子で語った。
男性によると、男は2~3週間前、自宅近くの路上にしゃがみ込んでおり、話すのもままならないほど苦しそうな様子だった。工務店近くにある木造2階建ての男の家に担ぎ込んだ。6畳もない広さの部屋には段ボールや鍋などが足の踏み場もないほど乱雑に置かれていた。
「(指名手配の)ポスターとは似ても似つかないが、言われてみれば面影がある気もする」。男は黒縁眼鏡を掛けており、白髪の短髪で、青いジャンパー姿だった。身長は160センチ弱でかなり痩せていたといい、「体がすごく軽かった」と振り返った。
普段、男性があいさつをすれば返し、目が合えば自分から笑顔を見せた。ただ、「弱々しくもの寂しい感じ」で、姿を見掛ける機会は多くなかったという。
捜査関係者によると、男は「内田洋」の名前を使い工務店で働いていた。
男性は、救急車を呼んだ工務店の社長から聞かされ、男の名前を「ウチダ」だと知ったという。近所の人にも「内田洋」は知られておらず、男が静かに暮らしていた様子がうかがえた。